パルワールド雑感
年明け早々から話題になり、
Steam歴代2位の瞬間最高同接数を記録するまでになった『パルワールド』。
「あらゆるゲームの特徴を全部詰め込んだキメラ」「ポケモンのパクリ」等々言われているものの、
その勢いは留まるところを知りません。
自分は自発的にやる予定はまったく無かったのですが、
知り合いが興味津々で買ってしまったので、画面共有で見させてもらった感想を書いていきます。
基本的にこのゲームは「オープンワールドサバイバルクラフト」というジャンルに属しています。
ジャンルを代表するタイトルには『ARK: Survival Evolved』『RUST』などがあり、
誤解を恐れずに言えば『Minecraft』のサバイバルモードのようなものです。
ただしボクセルワールドではなく、地形を変えることはできません。
その代わりサバイバルなので、家やその他施設は素材を集めて作っていくことになります。
狩りという形でバトルやレベルアップ等の概念もあり、遊び方によっては対人戦もあるようです。
『パルワールド』は、ざっくり言えば狩りの対象をポケモンのような架空の生物に置き換え、
さらにパルスフィアというモンスターボールによって捕獲し、使役させられるのが最大の特徴です。
使役させることで素材集めの自動化ができるというのはジャンルとしては画期的かと。
もちろんポケモンのように捕獲して仲間にしたら他のパル(=ポケモン)と戦わせることもできます。
巷ではポケモンをパクっていることを問題視しているようですが、
キャラデザにあたって弁護士の監修をつけているそうで
法的にギリギリセーフなラインは守っていると思います。
そこまでしてパクるという姿勢にそもそもクリエイターとしての何かが欠けているようにも思いますが……。
明らかにポケモンを参考に作っているであろうキャラは結構いて、
メガニウムそっくりのパルは割とアウトなんじゃないかと思っています。
逆にこれが許されて人気になるならオリジナルの権利者はたまったものではないでしょう。
パルワールドが人気になってしまったので
「ポケモンをパクる」という工程もそのままパクった「パクリのパクリ」が今後出てくるでしょうし。
ただ、個人的にそれよりもこのゲームは倫理的な問題が大きいと思っています。
ポケモンシリーズはポケモンバトルという概念こそあれ、人間が直接ポケモンに手を下すことはなく、
それは初代からずっとタブーとされてきました。
ポケモンが倒された場合は「死」ではなく「ひんし」、手放すときは「逃がす」等、
ポケモンという架空の生き物に対する生命倫理的な問題には細心の注意が払われてきました
(ポケモン図鑑だけは例外で割とエグいことも書いてあることがありますが……)。
プレイヤーたちはポケモンも尊い命であるということを、
悪の組織などとの戦いを通じて学んでいくわけです。
その結果、ポケモンというIPの価値を世界一にまで引き上げただけでなく、
ポケモンと共に育った子どもたちは架空の生物にも愛情を持つことが可能になったと思っています。
そうでなかったら、ポケモングッズがここまでの巨大市場になっているわけがありません。
『パルワールド』はその不文律を破壊しているのが個人的に最も不愉快なところです。
こちらの世界では、愛くるしいパルも人が直接剣や銃火器などで手を下すことができます。
いや、それどころか奴隷のように働かせ、必要が無くなれば屠殺することすらできてしまう。
やはりクリエイター側の倫理観の欠如を感じます。
もちろん、そういう作品が存在すること自体を咎める権利は誰にもありません。
ただ、もしこのままパルワールドのようなゲームが一大市場に成り上がったとしたら、
いままでポケモンが地道に築き上げてきた「何か」が失われるような気がしてなりません。
スレた大人がやるのはいいと思いますが、次世代の子どもにはプレイしてほしくないタイトルです。
当然、子ども社会に影響力のあるYouTuberにもプレイしてほしくないと思うのですが……
まあその点はもう手遅れでしょうね。
こういうことがまかり通るならCEROレーティングってもはやなんの意味も無いような。