モータリゼーションの行く末
今後必ず訪れる憂鬱なイベント、それは「親の老衰」です。
現時点ではまだ両親とも(それどころか祖父母も)現役かつ健康なので心配していませんが、
親が将来的に働けなくなることは確定的に明らかです。
働けないというだけならそれはもう遠い将来ではないかもしれません。
そこから年金生活がスタートするわけですが、
自分の両親はバブル世代なのでまあ年金受給額については特に問題にならないでしょう。
目下一番の心配はそれよりもさらに先、
足腰と認知能力の低下によって車の免許を返納したときです。
親に関してはそれもまだ20年くらい先の話ですが、祖父母に関してはもう数年後、
いやもしかすると来年や再来年には現実になっているかもしれません。
まあ祖父母の問題に関しては親や叔父がなんとかしてくれると信じることにして、
親がそうなったときは当然の成り行きとして自分がなんとかしなくてはなりません。
実家のある新潟は極端な自動車依存社会で、バイパスの交通量が全国トップになるほどです。
車が無かったら駅はおろかコンビニすら行けません。
腐っても政令指定都市の中心部のはずなのに……。
ちなみに政令指定都市なのに地下鉄が通っていないのは新潟市が唯一だそうです。
(もしかしたらもう1ヶ所くらいあったかもしれないけど)
地下鉄も無いとなると頼みの綱はバスなのですが、これも暗雲が立ち込めています。
新潟交通バスは次年度の運行数を減らすことを決めました。
高齢化社会の行き詰まりでバス需要は確実に高まっているにもかかわらずです。
これは単にバス路線の合理化を進めた結果なのかもしれませんが、
聞くところによると地方はバス運転士になる若者が少なすぎて、
バス路線が維持できないんだそうです。新潟も若者の東京への流出が凄まじい地域であるため、
当然バス運転士も不足しているのでしょう。若者自体が少ないんですから。
自治体によっては免許返納の特典として
タクシーやバスを永年無料や割引にするパスを発行しているそうですが、
そういうことが実現できるのは体力のある首都圏近辺の自治体くらいのもので、
高齢化で政令指定都市の中でもワーストクラスにお財布事情が厳しい新潟市ができるとは思えない。
じゃあどうするか。
自分は、両親も東京に来てもらうのが現時点では最善策だと思っています。
東京であれば多摩のベッドタウンでも徒歩圏内になんでもあるので車が無くても生きていけるし、
歩くのすらしんどいんだったらそれはもう同居するしかないわけです。
これは、自分が新潟に戻るよりは明らかに合理的なはず。
ただ、20年後に東京がどうなっているかはわからないし、自分もどうなっているかはわからない。
少なくとも確かなのは、地方はボチボチ維持できなくなる自治体も出ているであろうことです。
そこに新潟市が含まれるかどうかは分かりませんが、まあ衰退しているのは確かでしょう。
しかしこれは所詮赤の他人である自分の考えにすぎず、
実際に新潟に一軒家を構えた両親が何を考えているのかはわかりません。
どんなにデメリットがあっても地元からは離れたくないと思っているのかもしれない。
自分はそういう郷土愛みたいなものは持っていないので理解はできないと思いますが。
いずれにしろ、「ずっと変わらないだろう」と思っている日常も、
あと10年、20年したら絶対に変わり果てているであろう現実が少し憂鬱です。