京王線で人助けを見た
先日、出勤日だったので朝の京王線に乗って職場に向かったのですが、
その際に印象的な出来事を見かけたので書き残しておきます。
新型コロナ禍も五類移行によっていったんは終息とされ、都内では満員電車が戻ってきました。
まあ、最初期以外はわりといつも満員だったような気もしますが……。
自分はピークをちょっと外した08時台後半の電車に乗るのですが、それでもやはり満員です。
日によって乗車率は微妙に異なりますが、
京王線の場合は準特急廃止によって最後の乗車区間になった千歳烏山駅と、
井の頭線乗り換えのため若干人が降りる明大前駅の間がもっとも乗車率の高い区間になっています。
その千歳烏山駅で、なにやら全盲と思われる人が乗ってきました。
なぜ全盲と分かったのかというと、
一緒にいた女性が「はい乗ります、1、2の3」と手を引きながら声をかけていたからです。
介助の付き添いなのだろうなと直感しました。
そして満員電車に乗っていること数分、明大前駅に到着。
付き添いの人が「明大前です、降りますか? 明大前です」と声をかけており、
全盲の人は降りていきました。そしてなんと、その付き添いの女性は降りずに電車は出発しました。
え、まさか赤の他人だったの……!?
もちろん、そうでない可能性も否定できません。
知人同士だけど目的地が違うのでとりあえず明大前まで一緒に行くことになったのかも。
でも、もしそうではなく本当に赤の他人だったらなかなか衝撃的です。
人はここまで見知らぬ他人に対して献身的になれるんだなと。
上っ面や建前ではない、本当の意味での利他主義的な実践を垣間見た気がしました。
それはなんだかんだで人は自分が大事なのだという固定観念を否定できない自分にとって、
ある意味常識を覆されたかのように目に映りました。
そりゃあ日頃から電車で席を譲ったりする程度の利他的行動は自分でもしていますが、
それは求められたからしているという程度の自主性にすぎません。
同じ日に職場近くを歩いていたら知らないおじさんに駅までの道を訊かれましたが、
それに答えたからといって別にすごいわけでもなんでもない。
けれど、自分から手を差し伸べるというのはそういう表面的な善行とは次元が違うように思います。
果たしてそれができる勇気を持ち合わせている人がこの世に何人いるのだろうか。
もしもこれで今後自分の考え方を変えられる日が来るとしたら、
京王線で見かけた女性には感謝しなければなりません。それくらい衝撃的な出来事でした。