音楽再生数統計は時代遅れか
2007年09月10日、2代目携帯「W54T」がau Music Portという
楽曲別再生カウント機能付きの音楽管理アプリに対応していたことがきっかけで始めた、
毎月10日に音楽ライブラリの全楽曲の再生カウントを記録する習慣「音楽再生数統計」。
自分の音楽に対する興味はその2年前に新潟の地方FM局「FMPORT」をきっかけに花開き、
当時はラジオ放送される流行のJ-POPを中心に良く聴いていました。
当時流行っていたMDプレイヤーやiPodは手に入れることはできませんでしたが、
代わりにゲームボーイミクロ対応のカートリッジ式DAP「プレイやん」を買うことで、
音楽ライブラリという概念も2006年からありました。
そしてW54Tを購入したことでそれが携帯と融合して身近になり管理しやすくなった上に、
再生カウントランキングを作ることで自己満足欲求も満たせることもあって、
自分にとって音楽という趣味に対する熱意が一気に加速しました。
この頃に開拓したジャンルは2023年現在も主流であり続けています。
たとえば2007年に開拓したテクノポップ(特にcapsuleなどの「ネオ渋谷系」)、
ニコニコ動画をきっかけに収集を始めた音ゲーサントラ、翌々年に出会ったエレクトロニカなど。
音楽再生数統計開始以後は、新曲のライブラリへの追加は慣習的に毎月10日にするようになり、
10日以前に買ったアルバムは10日まで聴かずに我慢するルールになっていました。
なので、毎月10日がすごく楽しみだった時期もあります。
これらのルールは15年以上経ったいまもまだ生きています。
しかし一方で、音楽を取り巻く環境はこの15年で変わり果てました。
CD市場は衰退の一途を辿り、なんと市場規模でアナログレコードに追い抜かれるという始末。
CDをプレスせずデジタルのみのリリースとするアーティストもかなり増えてきました。
そして決定打となったのが「Spotify」等の音楽聴き放題サブスクサービスの登場。
これにより、iTunes Storeで音源をダウンロード購入することさえ時代遅れになり、
世は楽曲単位でストリーミングで聴くのが当たり前という時代になりました。
さらに、AI技術の向上によりプレイリストはAIが作ってくれるのが当たり前に。
自分はこれまで頑なにアルバム単位で音楽を買い、PCで取り込んで有線で転送し、
主に手作業で作ったプレイリストで聴くという習慣を維持してきました。
それが時代遅れだと気づいたのはSpotifyを本格活用するようになったほんの最近のことですが、
もともとその習慣に無理があるということは近年うすうすと感じてはいました。
それは「プレイリストを作るのが面倒くさい」ということを
ブログで度々クチにしていたことからも明らかです。明らかに手間がかかりすぎるんですよね。
大学時代〜社会人5年目まではPCとスマホのデータ同期に毎回1時間以上、
プレイリストの作成に至ってはそれ以上の時間をかけていたし、
その手間はいまも根本的には解決できていません。
手間を惜しむほど、音楽に対する楽しみも薄れてしまうのは深刻な悩みです。
そもそもクラウドが当たり前の時代にプレイリストも毎回有線で同期とか……。
Spotifyはこれらの手間がすべて解消されており、そもそも新譜を買う必要すらありません。
さらに音楽再生数統計にとって逆風なのは、アーティストもサブスク時代に適応していくために
アルバムではなくシングルでのリリースが圧倒的に多くなったということです。
従来の習慣ではアルバム単位で毎月10日にまとめて楽しむことを良しとしてきた経緯もあり、
随時リリースされるシングルはスルーするのが慣例でした。
なぜなら、後日それらを含めたアルバムがリリースされるかもしれないからです。
もしそのアルバムも買うとなったらシングルとアルバムの重複購入となってしまう。
しかし昨今は、そもそもアルバムという販売形態がサブスク時代に合っていないこともあり、
シングルで発表した楽曲がアルバムに収録されないケースもかなり増えてきました。
しかもめちゃくちゃクオリティの高いキラーチューンにかぎってそうなる傾向が強い。
こうなると「あくまでもアルバム単位で買う」というルールは足枷でしかありません。
Spotifyに乗り換えてしまえばそういうことに気を回す必要もなくなり、
毎日のようにリリースされる新譜を即日楽しむことができるようになります。
どう考えてもそっちの方が合理的だし、音楽体験がより良くなることは目に見えています。
それでもSpotifyに乗り換えられないのは、やはり15年間の蓄積があるからでしょう。
150ヶ月におよぶ統計作業と30万回以上の再生回数の蓄積を全部リセットするのは勇気が要ります。
そもそもCDとしては持っていてもSpotifyに存在しない音源も結構あるわけで。
これらの資産をどうにかして移せないものか……。
Spotifyにも再生カウントという概念はあり、それを集計するアプリも存在するようです。
ただ、さすがにそれを既存ライブラリと統合するとなると自力でのアプリ構築が必要になりそう。
あるいは「Apple Music」が救世主となり得るのでしょうか。
この壁をどうにかして越えれば、自分にとっての音楽文化はさらなる成長を遂げそうです。