Chrononglyph

#7274

いじめの根絶は不可能

今日の出来事いじめの問題

Twitterで流れていたほぼノンフィクションいじめ体験漫画
 家族全員でいじめと戦うということ。』(さやけん著)を一気読みしました。
いじめ問題というのはやはり複雑で第三者が軽々に批判できるものではないと感じるとともに、
まとめ記事のコメント欄では「これほど目が滑る作品を読んだのは初めて」
「絵が不愉快」など持ち前のデリカシーの無さで謎の作者叩きに走る者、
他者コメントの作品の感想に対して喧嘩腰で表面的な反論を展開する者、
あげく「経験上いじめはいじられる方が悪い」といった極論を展開して袋叩きに遭っている者など、
コメ欄内で叩き叩かれを展開しまるでそこがいじめの現場かのごとき雰囲気になっていて、
「あ、これはいじめは永遠に無くならないわけだわ」とある種納得しました。


本作も御多分に洩れずいじめ問題では教師は悪人として描かれることが多いですが、
個人的にはたかだか教員免許を取っただけの教員に求められるレベルが高すぎるとは思います。
児童カウンセラーとしての訓練を積んでいるわけでもないし、
そもそも小学校であれば全教科、中学校以上なら専門科目を教えることこそがメインの職務です。
しかも、その激務に見合った給料が出ているとも言い難い。これは社会制度の問題だと思います。


あと、個人的にはそもそもいじめは人間の本能であるということは否定できないと思っています。
人は本来もっと自分勝手で、
社会が個人に期待するモラルの高さは必ずしも先天的に備えているものではありません。
個人がモラルを身につけているとしたらそれは家庭教育の賜物であり、
それも大きな個人差があります。
そしてその差は義務教育で埋めることを期待されているわけですが、
2023年現在まだまだシステムが整っているとは言えないと思います。
ネット上のデリカシーと世間のそれを同一視することはできませんが、
上記まとめ記事のコメント欄の程度の低さからもそれを窺い知ることができます。
作中で被害者の父が「いじめは正義感から起きることもある」と言っていたのはその通りで、
いじめる側はそれが正しいと思っているケースが少なくないのも問題です。
この辺はネットの誹謗中傷問題(#07168 / 2023年08月02日)にも近いところがあるような気がします。


本作で一番恐ろしいと思うのは、当事者たちに目立った元凶が存在するわけではなく、
いじめの根幹は「クラス内の雰囲気」にあるということを示唆している点です。
これは結構実際の現場でありそうでリアリティがあると思いました。
作中ではわかりやすく2人のモブキャラがそれを扇動しているような描写がありますが、
実際には個々人の意志に関係なくクラス内の雰囲気でターゲットを決めるようなこともあるでしょう。
そして一度そうなってしまえば集団心理によっていじめが正当化されるようになり、
個々人が多少罪悪感を抱えていたとしてもなかなか元には戻らない。
たとえターゲットがいなくなっても次のターゲットが選ばれるだけです。
これはもはや学校関係者がどうにかできる話ではないし、
最近は学校が抱えているとされる専属カウンセラーですら解決は難しいと思います。
学校という場をもっとオープンにして地域ぐるみで関与していく必要性すら感じる。


少し前にいじめ問題について考えたときも同じ結論に至っていますが(#07248 / 2023年10月21日)、
改めて学校という閉鎖社会自体がオワコンなのではないかと思いますね。



同じタグを含む記事(いじめの問題
#7274いじめの根絶は不可能』(2023/11/16
いじめの問題今日の出来事
#7248いじめは非極端なケースが厄介』(2023/10/21
いじめの問題今日の出来事
#772差別的な話 -後編-』(2006/06/27
いじめの問題倫理的問題点のある記事準非公開の記事独り言, 自分
#357いつかと同じ思い出』(2005/07/13
いじめの問題倫理的問題点のある記事旧今日の出来事準非公開の記事今日の出来事, 自分
#277人間歴史の裏側を』(2005/05/13
いじめの問題倫理的問題点のある記事準非公開の記事黒歴史独り言, 自分
前後の記事