ステーキングの勘違い
2日連続で仮想通貨の話になります。
自分がこの界隈に本格参入するのとほぼ同時に興味を持ったアルトコイン、「Internet Computer Protocol」。
そのふざけたネーミングの裏にある壮大な野望と懐の広さに驚き、
一時期これでdApp(Web3.0のアプリ)を作ろうと画策するなど金儲けとは別の文脈で活動していました。
しかしその直後にピクチャレ大会移転プロジェクトが始動したので結局うやむやに。
また仮想通貨を知った当時は有望銘柄の現物を長期ホールドすることで利益を得ようとしていたため、
必然的に「推せる」プロジェクトを探すことに大きな意味があったわけですが、
2022年に先物取引に手を出してしまってからはそんなピュア・ハートは消え失せてしまいました。
そのため、ICPも最近の動向はまるで追っていません。
最近久々に仮想通貨界隈に戻ってきたのでこちらもにわかに興味が戻ってきたのですが、
ここで自分は盛大な勘違いをしていることに気づきました。
仮想通貨には、ホールドすることによって利益を増やす「ステーキング」という仕組みがあります。
それは乱暴に言えば銀行の利子のようなものですが、利子の受け取り条件もさまざま。
たとえば元祖仮想通貨のビットコインは膨大な演算と引き換えにビットコインがもらえます。
この場合はステーキングではなく「マイニング」と呼ばれていますね。
イーサリアムなどはホールドすることが新規発行した通貨を受け取る権利につながってくるため、
こうした仮想通貨ではただ持っているだけで増やすことができます。
ICPも基本的には後者の部類なのですが、大変ややこしいシステムなんですよね。
ICPはステーキングシステムに預け入れ、預け入れた資産は最大8年間ロックすることができます。
その上でロックした資産に対し「Dessolve(融解)」もまた年数を選択して実行することができます。
融解すると設定したロック期間が減っていって、ゼロになったらアンロックされるという仕組み。
利子が発生するのはこの融解中のみであって、ただロックしているだけでは何も起こりません。
以前の自分はこの辺を勘違いしていたみたいで、
1年半前に少額預け入れた資産がただ何もせずにロックされていたことに先日気づきました。
この「ただロックしているだけ」の状態は利子は増えませんがもちろん意味はあります。
その資産は、そのままICPのプロジェクトに投票する権利(Vote Power)になるんですね。
そして重要なのは、投票することによって少額のリワードがもらえるということ。
つまりICPのニューロンシステムは資産をロックする代わりに投票権を得て、
投票して初めて見返りがあるということです。ただ預け入れるだけではダメなんですね。
投票が面倒という人のために指定したユーザーに委譲することもできます。
試しに何もしていなかった少額資産で財団に投票権を委譲して様子をみてみたところ、
24回の投票が自動実行されウォレットに0.0018614 ICP貯まっていました。日本円にして2.57円!!!
とはいえ、そもそも預け入れている資産が5 ICP(≒6,930円)にしか満たないのでショボくて当たり前です。
投票はかなり高頻度で開催されており、日割りでも2.57円の3分の1はもらえそう。
その仮定で利率を計算すると年利は4.48%。このままずっと放置すれば1年後には310円増えています。
年利4.5%は銀行の普通預金からしてみれば信じられないくらい高いですが、
仮想通貨の世界では、比較的安定しているステーブルコインが
普通にそれ以上の利率でステーキングサービスを展開しているのであんまり魅力的ではないですね。
ちなみに「1年預けても手数料分すら回収できない」と以前ボヤいたMina Protocolですが、
ちゃんと計算したら実質年利は9.55%でした。ICPより全然うまい……。
ただ、送金時に一律1 MINA取られるのであまりにも少額だと送金手数料が相対的に大きすぎるようです。
MINAはアルトコインの長期ステーキングとしてはなんだかんだでアリなのかもしれない。
ICPに関しては、利率だけを考えるとこういう独自のステーキングサービスはあまり割りに合わなさそうです。
とはいえプロジェクトそのものに興味があるならこの投票システムは面白そうではある。
結局どのアルトコインにしろ積み立てたいなら素直に仮想通貨市場のステーキングサービスが無難そうですが、
それはそれとしてICPの世界は引き続き注視したいと思っています。
いまは1 ICP≒9ドルですが、かつて1 ICP=1,000ドル以上になったことがあり、
もしその域まで復活すれば650 ICP持っているだけで億り人達成できます。
そう考えるとやっぱり仮想通貨の現物ホールドもこれはこれで夢のある分野ではあるんだよなぁ……。