縮退する島
YouTubeでテレビ局公式チャンネルが少子化問題の特番をアップしていたので見ていました。
最近政権が打ち出した「異次元の少子化対策」に対する批判的な内容です。
それによると、政府は少子化問題を解決できるのは2020年代がラストチャンスであるとし、
数兆円規模の子育て支援策を提案していますが、
特番に登場した専門家はこれを「日本の少子化問題を根本から勘違いしている」と一刀両断。
「飛行機に乗れないから困っているのに機内サービスの話をされても困る」
という正鵠を得る例えがありましたがまさにその通りで、
日本はまず婚姻率の低下があり、子育てをしようにも相手がいないという状態です。
さらに少子化は40年以上前から始まっていて、
すでに現在出産適齢期にある女性は少子化時代に生まれた世代なので絶対数が少ないそうです。
そうすると、政府が躍起になって上げようとしている「出生率」を上げても、
そもそもその母数である出産可能年齢の女性が少ないので結局人口減になる可能性があります。
要するに出生率をちょっと上げたところで焼け石に水なんだそうです。
だからと言って出産適齢期の女性は増やしようがありません。
なので平たく言えば、日本の少子高齢化問題は「すでに詰んでいる」というのが結論であり、
政府は本来速やかに人口減少社会に起こりうる問題への対処に向けて動き始めるべきなんです。
でも、政府が大っぴらに「この国はもうダメなので畳む準備をします」なんて言ったら、
日本悲観論が広がって富裕層から順番にどんどん海外へ出ていかれるかもしれない。
子どもを産もうと思っていた夫婦もやっぱり諦めるかもしれない。
だから政府は建前上少子化対策が焼け石に水だと知っていてもそれを続けるしかないのでしょう。
でも、だからと言って必ず来る人口減少社会に対して無策では大変なことになります。
圧倒的多数の老人に対して絶対に足りない労働人口でどうやって社会を維持していくのか、という。
それは民間のサービスに限らず、治安を維持する警察なども不足することが考えられます。
将来この国は至るところで老人の孤独死、スラム化、治安悪化が観測されるようになるでしょう。
すでに限界集落になっている地方の田舎なんてもう時間の問題だし、
非常に長い目で見れば東京だって危ういと思います。
そして最後には日本という国が維持できなくなって消滅する。
唯一の頼みの綱は、加速度的に発展している技術革新が現在の常識を超えた何かで解決することです。
10年くらい前に話題になったベーシックインカムを実現して、
現状は人の手でなんとかしている労働をほとんどすべてロボットとAIに置き換えるとか。
治安維持も介護もサービス業もロボットにお任せするわけです。
その時点でまだ若い人は労働してもいいし、労働すればより多くの対価をもらえるようにする。
そうすれば絶望的な人口減少社会に産み落とされても幸福を追求することくらいはできるかも。
まあ、そこまでして社会を維持する必要性があるのかどうかは知りませんが。
なんというか、こう考えるとこの社会もいよいよ終末に向かっている感はありますね。
20年後はどうなっているんだろう。インドが世界の実権を握っているんだろうか。
しかし、これから人口減少の多死社会が到来するということを考えると、
団塊世代を納税で支えている現在の現役世代ってなかなかひどい境遇に置かれていると思います。
特に高給取りの富裕層は貧困層の分も持っていかれるのでキツいでしょうね。
結局その辺が原因で技術革新に投資できなくて社会が伸びなくなったんじゃないのかなぁ……。
まあ、団塊世代を攻撃したところで今更どうしようもないんですけど。