ゆとり教育は成功していた?
自分は世代的には「ゆとり教育の2世代目」であり、
思春期はマスコミや世間やネットユーザーから「ゆとり世代はバカ」と言われ続けてきました。
いわく円周率は約3で教えられているだの、台形の面積の求め方は教えられていないだの。
ゆとり教育はこれまでの詰め込み教育と学歴偏重を否定するものとして、
新学習指導要領では小中学校は完全週休2日制になり、本人の主体性を尊重することを重要視し、
「総合的な学習の時間」を取り入れるなどの試みがなされました。
しかしその施行後PISA(世界で一斉に行われる、高校1年を対象にした学力テスト)
で日本の国語ランキングが如実に落ちたということで、
「ゆとり教育のせいで子どもたちの読解力が落ちた」とメディアに批判されるようになり、
そこから「ゆとり教育」というのは失敗したものというイメージが付きまとうようになりました。
ところが、いわゆる脱ゆとり教育が始まって久しい昨今、
むしろゆとり教育は成功していたんじゃないかという意見を少なからず目にするようになりました。
批判の根拠とされているPISAのランキング推移の見方に無理があるというものです。
まず国語力低下が指摘された2003年のPISAを受けたのはゆとり先頭世代であり、
それは要するに小中学校のほとんどの期間ゆとり以前の教育を受けてきた世代であって、
1年しかゆとり教育を受けていないのにそれを国語力低下の根拠にするには無理があるだろうと。
そして2008年以降、ゆとり教育をフルに受けてきた世代はむしろ国語力が如実に良くなっている。
さらに「脱ゆとり教育」が浸透してきた近年は国語力はまた落ちている。
このことから、むしろゆとり教育によって読解力は上がっていると言えるのではないかと。
むしろ失敗しているのは「脱ゆとり教育」なのではないかなどとも言われています。
ちなみに理系科目はどの世代も強いそうです。
また、最近はゆとり世代のスポーツ面での活躍が非常に著しいです。
野球界ですでに生きるレジェンド扱いの大谷翔平をはじめ、
フィギュアスケートの羽生くんなんかもゆとり世代です。
昨今はどのスポーツも世界大会における日本代表チームが好調なイメージがあります。
野球は世界の頂点に立ったし、いままであまり注目されなかったラグビーやバスケも好調です。
これは彼らが子どものころ、
詰め込み教育をされずにのびのびとスポーツに打ち込めた結果なのではなかろうかと。
これが本当かどうかはZ世代が中心世代になったら答え合わせができると思います。
もちろん一概には言えませんが、ゆとり教育の不名誉な部分が払拭されつつあるのは良いことです。
というか、こうして考えると当時のメディアによる批判って随分短絡的でひどいですね。
もちろんそれは大衆が若者叩きをしたいからこそ煽動していたのであって、
いまはいまでZ世代叩きに夢中になっているので当時のメディアだけを責めることはできませんが。
「最近の若いもんは……」という論調は太古の昔からあるそうなので、
これはもう人間の抗えない本能なのでしょう。
まあそれはそれとして、ゆとり教育がただただ失敗したわけではないというのは良かった。