多種多様なエクストラカード
さて、じわじわ復帰しつつある遊戯王OCG。
このカードゲームはとにかく情報量が多すぎるため情報集めに時間がかかっています。
ゴールデンウィークまでに1デッキ、と思っていたけれどとても間に合いそうにありません。
コロナ禍以降では初めて触れた遊戯王OCGですが、この数年の間に変化点も多くあったようです。
まず『遊戯王 マスターデュエル』によるデジタル化がもっとも大きな変化点ですが、
ルールについてもリンクの登場によって一時オワコン化した融合、シンクロ、エクシーズが元通りになり、
その分多様なテーマデッキがどれもこれもインフレ&高速化していて
「後攻は初期手札に手札誘発カードが無かったら負ける」とさえ言われています。
特に大量展開妨害用の手札誘発カードである《増殖するG》《灰流うらら》はもはや3積み必須カード。
さらに、それらを無効化する《墓穴の指名者》さえもよく投入されイタチごっこの様相を呈しているそうです。
こういうデッキの多様化を阻害する汎用カードは規制される傾向にありますが、
先攻有利の環境に対する抑止力としてなのか、公式もこれらの重要性を認めているようです。
その証拠に今度リリースされるストラクチャーデッキにはこれらが各2枚収録されるという大盤振る舞い。
逆に、セットして1ターン待つ必要のある罠カードは罠カードというだけで価値を落としており、
この高速化環境では採用率は減っているそうです。恐ろしいですね。
もう手札誘発はモンスター・罠・魔法とは別に専用のカテゴリを作成するべきなんじゃないだろうか。
遊戯王OCGはアニメシリーズごとに新規カテゴリが登場していて、
2009年に復帰したときは「シンクロ」が全盛期かつ最新カテゴリでした。
これは融合モンスターと同じようにエクストラデッキに控えておき、
フィールド上にチューナーとチューナー以外のモンスターカードを揃えれば、
その合計レベルに等しいレベルのシンクロモンスターをEXデッキから特殊召喚できるというシステムです。
チューナーさえいれば下級モンスター2枚から強力なモンスターを特殊召喚できるため、
融合素材と《融合》等の専用魔法カードが必要な融合モンスターよりコストもハードルも低く、
汎用性の高いシンクロモンスターは当時どれも2,000円前後の高価格で取引されていました。
続いて登場した「エクシーズ」は、
チューナーが必要無い代わりに同レベルを揃える必要がある特殊召喚モンスターです。
召喚時に使ったモンスターは墓地に送らず「エクシーズ素材」としてエクシーズモンスターの下に重ね、
これを消費することで強力な効果を発揮するエクシーズモンスターもいます。
同レベルであれば基本的に種類を問わないため汎用性の高いエクシーズモンスターはどんなテーマにも合う一方、
扱うモンスターのレベルによって組み込めるエクシーズモンスターが変わってくるため、
必ずしも特定のエクシーズモンスターをどのデッキにも搭載できるわけでもなく、
個人的にはかなり秀逸なシステムだと思います。
まあ、ランク4に関してはそもそもレベル4を出しやすい関係で汎用性が高過ぎる印象がありますが。
既存の融合・シンクロとはカードパワーで棲み分けがされている印象です。
シンクロの方がやや難しいのでこちらはそれに比べるとパワーは抑えられていることが多いですね。
その次に登場した「ペンデュラム」は、扱ったことが無いのでいまだ馴染みの薄いカテゴリです。
これはざっくり言えば手札からモンスターとしても魔法カードとしても出せるハイブリッドカード。
モンスターとしての分類はさまざまで、新カテゴリであるシンクロやエクシーズとの複合もあります。
基本的には魔法カードとしてペンデュラムカードを左右2枚場に出すと、
それぞれに記された「ペンデュラムスケール」の間の数値に当てはまるレベルのモンスターを
1ターンに1回手札から好きなだけ特殊召喚(ペンデュラム召喚)できるというルール。
また、魔法カードとして出したペンデュラムモンスターが何らかの要因で墓地に送られる場合、
代わりに表側表示のままエクストラデッキに戻すという特殊な仕様があります。
EXデッキで表側表示のカードもペンデュラム召喚の際に特殊召喚する対象にすることができますが、
その場合「エクストラモンスターゾーン」または後述のリンクモンスターの「リンク先」にしか置けません。
それらの空きが無い場合は特殊召喚することはできないことになります。
ペンデュラムはとにかくややこしい上にあまり人気が無い印象があります。
一時期はシンクロ・エクシーズも置けるマスが同じように制限されていましたが、
これによって多数のテーマデッキが機能不全に陥り遊戯王OCG全体の売り上げが3割も減ったため、
次のルール改定ですぐに戻したという経緯があります。
そして現在最新のカテゴリである「リンク」は、エクシーズよりもさらに単純化したもの。
レベルが同一でなくてもいい上にチューナーを揃える必要も無く、
とにかく指定の種類のモンスターを2体揃えれば「リンク2」のモンスターを特殊召喚できます。
アドバンス召喚(生け贄召喚)の特殊召喚バージョンのようなものですね。
また、「リンク2」のモンスターはそれ単体で2体分の素材にもなり、
もう1体のモンスターとリンク2のモンスターを墓地に送ることでリンク3モンスターを出せるなど、
どんどん強いカードにリンクしていくのが特徴のカテゴリです。
当然エクシーズよりも出しやすいのでその分カードパワーは抑えられている傾向にあります。
また、リンクモンスターには8方向のリンクマーカーというものが備わっていて、
リンクモンスターと先述のエクストラデッキからのペンデュラム召喚は
1マスしかないエクストラモンスターゾーンかこのリンク先のマスにしか召喚できません。
またリンクモンスターはしばしば、リンク先のマスにいるモンスターに干渉する効果を持っています。
リンクによって、遊戯王はカードの位置も多少なり戦略に関わるようになったということですね。
このように、通常・効果・儀式・融合と4種類だった原作時代(20年前)から比べると、
特にエクストラデッキに入れるカードの種類がめちゃくちゃ増えている現状があります。
そして、各時代においてはやはりその当時で最新のカテゴリが優遇されている傾向にある。
リンクは過去のテーマに所属する新規の強力リンクモンスターが次々にリリースされていて、
リンクを活用してデッキを強化しろと言わんばかりの状況になっています。
かつて自分が作ったデッキの中でも、例えばデザイナーズデッキである【マドルチェ】【ゴーストリック】は
あからさまに強い専用リンクモンスターが出ています。
説明が長くなりましたが、とにかくここ最近では最新カテゴリのリンクが跋扈しているというわけです。
そのため最新の遊戯王を理解するにはまずリンクモンスターというものを知る必要があります。
また、デッキ構築の際はそれを踏まえた上でどのカテゴリのどのモンスターを採用するのか、
デッキのタイプをよく理解して選ぶ必要が出てきます。
15年前に復帰した際はシンクロ一択だったのでそこまで悩ましいものでもありませんでしたが、
単純にこの15年でエクストラデッキのプールも3倍になっているわけで、
ますます複雑になっているように思います。まあとりあえずリンクを選んでおけば間違いない気はしますが。
デジタル版があるのでより気軽に誰かと対戦できるようになったという意味では大きな進歩で、
実践を積みつつ紙の時代のカードをブラッシュアップしたいという気持ちは大いにあります。
ただ、その道のりはかなり遠いですね……。まずデッキを組み上げることができるのかさえ怪しい。
せめて【宝玉獣】くらいは2024年版を完成させたいところですが。