Chrononglyph

j-pop

#7182

YUKI「長い夢」の制作背景

今日の出来事j-pop

コンシューマーゲームに次いで長い趣味として音楽を聴くことがありますが、
自分の好きなジャンルはかなり偏っていて、
単に「音楽好き」というと邦楽しか聴かない人とは話が噛み合わなかったりします。
しかしだからといって洋楽に詳しいわけでもなく、自分の専門は自分でもよくわかりません。
まあにわかといったところでしょうか。
昔はエレクトロニカはまあ聴き込んでいると自称してもいいだろうと自負していましたが、
このジャンルも世界が広すぎて……。


というわけで一般的に音楽好きと言えば連想するような邦楽はあまり聴かない自分ですが、
2004〜2006年ごろのJ-POPに関しては唯一の例外です。
ブログでは何度か説明していますが、
これはブログ黎明期の2004年冬、
当時家が近かった中学時代からの友人と一緒にその親の車に乗せてもらって登校した日、
たまたま車のラジオから流れてきたのが
JUDY AND MARYの元ボーカルであるYUKIの新曲、『JOY』でした。
当時の自分はこれにいたく感動した記憶があります。
なんでそこまで感動したのかについては、単純に楽曲が良かったからというのもありますが、
ゲーム音楽しか知らなかった当時の自分にとっては、
当時から(今も)ゲーム音楽の最高峰と認識していた『Stickerbush Symphony』に
どことなくバックグラウンドの雰囲気が似ていたのも大きいかもしれません。


翌2005年、その出来事をきっかけに猛烈にラジオが欲しくなりSONY製のポータブルラジオを購入。
それから高校卒業と同時に地元を離れるまで、下校時に「FM PORT」を聴くのが日課になりました。
それを通じて当時最新のJ-POPを聴く機会が多かったので、
高校時代にリリースされたJ-POPだけはいまだによく聴くし、好きな曲が多いです。


そういうわけでYUKIをきっかけにラジオを聴くようになり、当然YUKIの新曲は楽しみにしていました。
そして待ちに待ってリリースされた新曲が『長い夢』という曲でした。
当時の自分は『JOY』は越えられないけどまあまあ良曲、というような位置付けでしたが、
いまはもしかすると『長い夢』の方が好きかもしれません。


実はこの曲には悲しい制作背景があります。
YUKIには当時もうすぐ2歳になる長男がいたのですが、
『長い夢』が完成した直後のある日の朝、突然亡くなっていたそうです。
前日まで何事もなく元気だったということなので、その悲しみたるや想像を絶します。
悲しみに暮れたYUKIはすでに完成していた『長い夢』の歌詞を大幅に書き直し、
タイトルも当初は『バイバイ』にしたそうですが、
それではあまりにも直接的に長男の死を想起させるということで変更になったそうです。


こうした背景に基づいて改めて楽曲を聴いてみると、メロディーはとても明るくてアップテンポで、
歌詞の多くはそれに呼応するようにメルヘンチックになっています(PVもそんな雰囲気)。
しかし、ところどころに最愛の息子の死を表現している箇所があり、
メルヘンチックでアップテンポなんだけどやっぱりこれはそのことを歌った歌なんだ、
ということに気付かされます。
気づいた上で改めてそのメルヘンチックな部分を聴いてみると、
それもまた息子の死を受け入れられないYUKIの悲しみが表現されているようでとても切なくなります。


ファンによるとこの『長い夢』前後の出来事をYUKIはしばらく受け入れられず、
その悲しみによって2年間ほどは歌詞に自分自身を登場させないことで心を閉ざしていたそうで、
その間にリリースされた曲はキャリア全体からすると異質なほどメルヘンチックに寄っています
(『ふがいないや』『ドラマチック』『星屑サンセット』など)。


そういう背景を踏まえると、やはり当時はとてつもない悲しみの中で書き切った曲なんだなと。
でも、だからと言って馬鹿正直にしんみりした楽曲になっているわけではない、
むしろめちゃくちゃ明るい曲に仕上がっているのがすごい。
そういう点で、なんというかシンガーソングライターの矜持を感じられる楽曲として、
自分の中では殿堂入りの音楽になっています。


#7125

RADWIMPSの歌詞

今日の出来事j-pop

2016年に大ヒットしたアニメ映画『君の名は。』。
身体の入れ替わりをきっかけにお互いを知るようになっていく田舎の少女と都会の少年が、
最後の最後でお互いの名前を知る純愛ストーリーです。
個人的に、やはりこれが新海作品の暫定最高傑作だと思っています。
次の『天気の子』も決して悪い作品ではないけど、やはり『君の名は。』は越えられなかった。
(ちなみに『すずめの戸締まり』はまだ観ていません……)


その両作品はRADWIMPSというバンドによる挿入歌が入っており、
こちらもとてもチカラを入れて作られている音楽です。
特に『天気の子』はRADWIMPSによる宣伝効果を重く見たのか、
上映前当時、耳にタコができるほどCMで主題歌を聴いた思い出。
これらも非常に出来が良く、アルバムを持っていてたまに聴くのですが……。


なんというか、少し前からRADWIMPSに対して絶妙にコレジャナイ感を感じるようになりました。
ようやく映画による補正が効かなくなり生の評価ができるようになったのでしょうか。
これ、ファンの前では絶対言えないんですが、妙に歌詞が陳腐に聴こえる。
「恋してる自分に酔ってる」感が強いというか、歌に乗せる語彙が薄っぺらいというか。
もちろん、ティーンズにも共感してもらえるように
あえてそういうコンセプトで作られている可能性は否定しないし、
それはそれでより多くの人に伝わりやすいなど良いこともあるでしょう。


ただ、これら映画の主題歌に採用された楽曲群はメロディーはめちゃくちゃ良いんです。
これがRADWIMPSの強みなのでしょう。
だからこそ、歌詞のクオリティが今ひとつそのレベルに及ばないのが悪目立ちしてしまっている感。
これでメロディーもありがちなコード進行だったら有象無象のバンドとして評価され、
歌詞の陳腐さもそれほど重視されなかったんじゃないかと思います。
この悪評価というか違和感は、近年でトップクラスにヒットした傑作アニメ映画の主題歌、
というポジションでしかもメロディーが抜群に良いという好条件だからこそなのではないかと。
まさしく玉に瑕というやつです。


あるいは、自分がそう感じるのは無理解ゆえなんだろうか?
もう一度映画を観て、歌詞の解説などガイドブックなどを読めば180度変わるかもしれません。
表面的にしか触れていないものは得てして否定的に捉えがちです。
ただ、仮にそうだとしても自分が現時点でイマイチだと感じるその感覚は否定しようがなく、
結局RADWIMPSの楽曲はレーティングを下げることになりました。