券売機の壁
外食の頻度が増えた(というかほとんど外食になった)ことで、
外食に関わるネガティブな出来事に触れる機会もそれなりにあります。
体感でもっとも多いのが、「券売機にキレる老人」。
これ、わりと地域の治安関係なく都内のどこに行っても見かけるのでうんざりします。
まあ基本的に出没するのは牛丼チェーンとその系列なので、
それを避けていればほぼほぼ問題ないですが。あとはまれに「なか卯」で見かけるくらいか。
券売機にキレる老人にもいろいろな類型があって、
ひたすら券売機を殴るパワー系老人、店員を呼びつけるクレーマー系老人、
一人で愚痴をつぶやいて後続の列を伸ばし続ける愚痴系老人など。
老夫婦で来店してどちらも券売機の操作がわからずに困惑しているケースもよく見ます。
もともとそういう気質なのか、認知症など知能や精神になんらかの問題があるのか、
俗にいう「歳を取ると我慢弱くなる」ということなのか……。
いずれにしろ、社会人層である我々から見たら哀れだなあとしか思えませんが、
将来的に自分が歳を取った際にああなる可能性も十分あると考えると難しい問題でもあります。
たぶんああいう老人もいわゆる居酒屋ではそつなくこなせるのでしょう。
券売機という謎テクノロジーへのヘイトがあるからこそ高圧的になるのではないかと思います。
人は思春期までに出会ったテクノロジーは受け入れることができるが、
それ以降のテクノロジーを受け入れるのは難しいという研究結果があるそうです(うろ覚え)。
自分の世代ではスマホを使いこなすのは半ば当たり前という感覚ですが、
50代以上の人にとってはそれは当たり前ではないわけです。
後期高齢者なんてもっと難しいでしょうが、
一方でスマホが無いと何もできない世の中になりつつあるのも事実です。
なので老人たちは必死に使い方を覚えなければならないわけですが、
老人にしてみれば「社会が若者中心で動いている」と不満を覚えるかもしれません。
その不満の矛先をテクノロジーに向けるのは無理からぬことです。
なにしろ老人にとっては若い頃に存在しなかった理解し難いものなわけですから。
そういうジェネレーションギャップはどの世代にも多かれ少なかれありますが、
券売機クレーマーを見ていると
先進技術を受け入れるかどうかというのは、生活の質に直結する問題のように思います。
あんまり自分の時代中心に考えすぎるのも考えものかもしれません。