美容業界の強かな戦略
京王線の車内広告で結構頻繁に見かけるのが、
女子専門脱毛サロン「ミュゼプラチナム」の広告です。
本来は数万円かかる脇毛の永久脱毛を、新規さん限定でいまならなんと100円!というやつ。
数万円の商品価値があるサービスが100円ポッキリ?
そんなバカな。
何か裏があるんだろうと思ってサッと検索しても、ミュゼの味方をするブログしかヒットしません。
ミュゼ側がしっかり根回ししているのか、本当に裏は無いということなのか……。
調べてみたかぎりでは、
100円コースを通ううちについでに他のコースも契約するお客さんが多いので成り立つのだそう。
確かに言われてみれば、脇だけ永久脱毛したところでしょうがないですからね。
せっかく脱毛サロンに定期的に通うのであれば全身脱毛してしまおう、
と考えるのが自然なのではないでしょうか。
女子といういきものは元々お肌ツルツルというわけではなく、
放っておけばオッサンと同じように脇やら何やらムダ毛が生えてくるわけで、
この20年でそれをお手入れするのはさも当然のたしなみのような風潮になりました。
永久脱毛に対する抵抗感は相当減っていて、
近年は女子だけでなく男性向けの脱毛サロンも多くなってきました。
ということはそれだけ需要のある業界ということで、
とにかく新規さんを囲いたいのはどこも同じなのでしょう。
脱毛サロンは一度通えば終わりではなく定期的に通う必要が出てくるため、
そういう意味でも新規顧客獲得の重要性は高いと思われます。
それらの事情や100円サービス以外にもオプションを申し込む人が多いということを踏まえて、
100円で行けると踏んでGOサインを出した経営者はなかなかのセンスの持ち主かもしれません。
不景気に物価高で散々な世の中と言われて久しい昨今ですが、
女子のオシャレ業界は結構どこも潤っている印象です。
よく利用する駅直結のショッピングモールに小さなネイルサロンがあるのですが、
休日なんかはいつ行ってもたいてい満席です。そこまで安くないはずなんですけどね……。
これは別に女子だけ景気が良いというわけではなくて、
男は人によって本当にそれぞれ違う分野にお金をかけるので消費が分散する一方、
女子は諸々の消費活動よりもオシャレの方が(社会の要請によって)明確に優先度が高いので、
望む望まざるに関わらずそこにお金が集中しやすい構図があるんじゃないかなーと思っています。
とはいえ諸々のサブカルチャーは性別関係なく楽しみたい人はいるだろうし、
優先度高いとはいえそればかりめちゃくちゃお金をかけるわけにもいかない。
だから昨今はお金をかけずにオシャレする「プチプラ(プチプライス=リーズナブルな化粧品等)」
が注目されたりするわけで。
うーん、改めてそこまで考慮した上で考えるとやはりミュゼの戦略はなかなかすごい気がしてきた。