Chrononglyph

#7575

Apple Musicの機能を掘り下げる

今年は音楽がかなり息を吹き返したと実感するくらい豊作の年で、
まあそれも当然でApple Musicにある楽曲は全部無料ダウンロードできるようになったからなんですが、
それでもまだまだ新曲を湯水のように浴びまくっていた2010年前後には遠く及びません。
この違いは、いまのところ関連楽曲の探しやすさによる差異であると認識しています。


2010年前後はまだ音楽サブスクサービスというものが世に存在しませんでした。
まだCDが息の根を止められていなかった時代ですね。
そのころの自分は基本的にiTunes Storeでお気に入りのアルバムへまずアクセスし、
そこから関連しているアルバムを辿って芋蔓式にウィッシュリストを増やすということをしていました。
このときのオススメ機能はおそらくユーザーの行動を分析したもので、
当時のメディアに「オススメの精度はあまり良くない」と書かれていたのを覚えています。
ただ、自分がエレクトロニカを深掘りするにはかなり重宝した思い出。


一方現在、iTunes Storeは虫の息でいつサービス終了してもおかしくありません。
いちおう単独アプリとして存続はしていますが、関連アルバムの表示機能は無くなっていました。
そして以前検討したように、代替となるApple Musicは楽曲からの芋蔓検索が貧弱で、
基本的にキューに1曲しか入れてくれないので楽曲探し用途には向いていません。
その点では明確にSpotifyの方に軍配が上がります(#07490 / 2024年06月19日)。
ただだからといってApple MusicとSpotifyの二重契約はあまりにも非効率ということで、
それからざっくりと代案を探してみました。
結論から言えば、無料の範囲でSpotifyの代替になるコンテンツはゼロです。


まず、諦めてApple Musicにおける類似曲検索機能の「ステーション」を使うという手。
これは1曲選んだら数十曲の類似曲が一気に出てくるSpotifyに利便性は劣りますが、
類似検索の精度はそれなりに良いので楽曲を探すというよりもこの段階で聴くという使い方ならアリかも。
確かに考えてみれば数十曲表示されたところでピックアップした楽曲以外に触れないのなら、
本質的には1曲ずつ表示されるのと変わりないわけで。


それから短編プレイリストを作り最後まで再生することによって再生される
「∞」モードのおすすめ楽曲に身を委ねるという手。
この方法だとステーション機能と違って何故かちゃんと10曲まとめて表示されるため、
オススメされてから取捨選択できる自由があるという点で優れています。
しかもプレイリストの楽曲が1曲でもしっかりオススメは10曲選出してくれ、
いまのところSpotifyのラジオ機能にもっとも近い有望な機能と言えます。
ただ、言うまでもなく楽曲をプレイリストに追加する手間がかかるのが難点。
最近お気に入りに入れた20曲はプレイリストへ追加する際検索しなくても出てくれる仕組みなので、
基本的には空のプレイリストをいくつか作っておいてお気に入りが増えたら突っ込んでおく方法が良さそう。
ちなみにプレイリスト画面で楽曲が少ないとオススメの楽曲をワンタップで追加する機能もありますが、
これはおそらく楽曲の関連性に基づいていないためほぼ使い物になりません。


あとはお気に入り楽曲から一度アーティストページまで戻り、
そこから「似ているアーティスト」を辿るという手。
これはiTunes時代の芋蔓式検索にかなり近く、そういう意味ではもっとも無難な気はする。
ただし同じアーティストでも楽曲ごとにコンセプトが大きく異なる場合はカバーできず、
あくまでもSpotifyのラジオ機能の下位互換に過ぎない……ですが、そこまで求めるのは若干わがままかもしれない。


他にもいろいろ。MaroofyというwebサービスはAIによって構築された無料の類似曲検索サービスですが、
その精度はユーザーデータを使っているSpotify、Apple Musicには遠く及びません。
AIが音楽を「理解」できるのはまだまだ先ということなのでしょうか……。
iTunes時代にあったローカル上の類似楽曲プレイリスト作成サービス「Genius」も試してみました。
実はこれはmacOS版Apple Music(旧iTunes)ではまだ生きており、プレイリストの精度もまあそこそこ。
iOSでは使えないのが致命的ですが、プレイリストの同期自体はできるようです。
ローカル内での楽曲探索としてはまだ使える……のかも? とはいえ、Spotifyを置き換えるポテンシャルはありません。


ユーザープレイリストを探索するという手もあります。
Apple Musicからジャンル名等で検索すると、誰かが作ったプレイリストを聴くことができます。
完全に人力で集められた関連曲集ということで、ユーザー次第である意味ものすごいポテンシャルはある。
Apple公式のプレイリストもあってこちらはモノによってはかなりの高頻度で更新しているみたいです。
自動キュレーションサービスでは物足りない場合に探索する手段として使えそう。


というわけで、単独でSpotifyの利便性に勝てる機能やサービスは見つかりませんでした。
が、上述のステーション、∞モード、似ているアーティスト、ユーザープレイリストの4機能を使いこなすことによって、
いちおうSpotifyの代替としての楽曲探しプラットフォームは成り立っているようにも思えます。
Spotifyのラジオに使用感が近く一番有望なのは空プレイリスト+∞モードの組み合わせですが、
使い勝手を考えるとステーション機能に順応した方が効率はいい気がします。


実際、Apple Music導入後に出会ったお気に入り楽曲の数々は∞モードで拾ったものなので、
これ自体が有能なのは確かなのだと思います。
ただ、普段あまり聴かない楽曲の掘り下げについては必ずしもこれがベストとも言えなさそう。
音楽探しの旅はまだまだ続きそうです。



同じタグを含む記事(音楽配信サービス
#7575Apple Musicの機能を掘り下げる』(2024/09/12
音楽配信サービス今日の出来事
#7314Apple Musicの致命的な不具合』(2023/12/26
音楽ライブラリ音楽配信サービス今日の出来事
#7238Apple Musicは音楽ライブラリを救うか』(2023/10/11
音楽配信サービス今日の出来事
#7074音楽探しの終着点』(2023/04/30
音楽配信サービス音楽
#6859音域拡張の可能性』(2022/09/27
音楽配信サービス音楽
#6337連鎖発見』(2021/04/23
音楽配信サービス音楽
#6152音楽と出会う場所』(2020/10/22
音楽配信サービス音楽
前後の記事