Apex Legendのランクマ問題
自分の中でいつの間にか
コンシューマーゲームプレイ史上ピクミンに次ぐ長期コンテンツとなっている『Apex Legends』。
去年末〜今年春まではさすがにマンネリを感じて一時的に引退し、
その間一緒にApexをやっている元同僚とは違うゲームをやっていたりしました。
しかしその休止期間がバネになり、復帰後はまた安定的にプレイを継続しています。
特に今シーズン(シーズン17)は
自分のような万年ビギナーが盛りやすい(ランクポイントを稼ぎやすい)環境であることや、
マッチングシステムの改善によっていままで以上に快適にプレイできています。
ただこのランクポイントシステム、世間的には「破綻している」という見方が多数派でしょう。
一般ユーザーの頂点に位置するマスターランクが最大勢力になっていることがその理由です。
乱暴に言えば、実力関係なく誰でも盛れるようになってしまったことで、
ランクの価値が崩壊してしまったんです。
超ざっくり言えば、いままでのシステムはキル数と順位の掛け算によってポイントが決まり、
ランクが上になればなるほど参加費とランクアップに必要なポイントは増える仕様でした。
ApexのようなバトルロイヤルFPSは、
順位を上げるための戦略として「敵を倒す」だけでなく「敵から隠れる」という選択肢もあります。
戦わずに隠れ続けて敵同士潰し合うのを待つというわけですね。
しかし旧システムではキル数も重要なポイント源であるため、隠れているだけでは盛れません。
ランクが上がってくると参加費が重くなるので、どんどん効率は悪くなります。
プラチナくらいになってくると、キル数ゼロではほとんどポイントは増えません。
一方、キルを取れば掛け算でポイントが増えるため、
旧システムでは1試合でたくさんキルを取る人こそが上に行ける仕様になっていました。
これは、バトルロイヤルFPSの中でも
比較的キルを重視するApexのゲーム性を反映したシステムであると言えます。
新システムは逆にバトルロイヤルFPS本来の醍醐味である「生き残ること」を重視する仕様で、
11位以下はどんなにキル数を稼いでも反映されず、問答無用でマイナスになります。
その代わり10位以上になれば必ずある程度は盛れるという仕様で、
旧システムと違って明らかに順位に重点が置かれています。
キルポイントについては内部レートで格上の敵をキルするとボーナスが加算される仕組みですが、
これは生き残り順位とは独立して計算されるため、
高順位かつ多くキルしても旧システムのように爆発的に盛れるわけではありません。
さらにランク格差が撤廃され、
どのランクでも参加費もランクアップに必要なポイントも統一されました。
これによりランクが上がるほどキツくなるというわけでもなくなり、
すごく極端に言えば「延々敵から隠れ続けるだけ」で戦闘を一切行わなくても、
時間さえかければ上位ランクに行くことができるということになります。
それが事実であることは現在のランク分布を見ても明らかです。
これは、撃ち合い重視でApexを楽しんできた上級者からしてみればたまったものではないでしょう。
この新システムを「ランクマを破壊した」と非難することは簡単ですが、
実はランクマに関しては旧システムにも大いに問題があり、
運営サイドはそれの解決をしたかったのではないかと個人的には考えています。
そう考えている理由は簡単で、キル数重視だとバトルロイヤルゲームとして面白くないからです。
「順位が低くてもキル数さえあれば黒字になるかもしれない」
というようなシステムだと、多くのプレイヤーはゲーム開始後すぐに降下して撃ち合いを始める、
いわゆる「即降り」という行為を行うようになります。
時間をかけて立ち回るより戦闘の機会を多くした方が上達しやすいので、
どんなに負けて赤字になっても長期的な視点で考えれば盛れるからだと思っています。
そうなるとゲーム開始からすぐに多くの部隊は退場するため、
即降りしなかった部隊は容易に順位を上げられます。こうなると順位の意味がありません。
また、即降り行為というのは早い話がバトルロイヤルFPSというゲーム性の否定です。
そこには「どの武器を育てるか」「どのようなルートで安全地帯を目指すか」
といった戦略の必要性は皆無であり、ただただ撃ち合いで勝つか負けるかでしかありません。
そういう環境で即降りを避けたところでいずれ戦うのは即降りを生き残った強い人ばかりなので、
順位が上がってもキル数を稼げなければ盛れないシステムでは即降りを避けるメリットが薄いです。
それはApex Legendsというゲームの目指すところではないのでしょう。
だから、ランクマを改革するならまずは即降りをすることのメリットを潰す必要があった。
その点、「11位以下はどんなキル数でもポイントを与えない」という新システムは
一見極端なように見えて旧システムの問題点を明確に解消するという点では理にかなっています。
ただ、それはあくまで全般の話で、高ランクはどうするべきかというのはさらに難しい問題です。
今回の新システムではランク格差をなくした結果、高ランクの価値が暴落してしまいました。
しかしだからといって高ランクほど参加費を重くすればいいのかと言われると微妙のような。
その場合は上位に行けば行くほど撃ち合いで勝ち難くなるため、
ハイド(隠れる戦略)をする人の割合が増えてかくれんぼ大会のような様相になってしまうかも。
旧システムには問題があるとはいえ、多少はキル数を反映するようにする必要もあるのかなと。
たとえば10位以上は旧システムのようにキル数と順位の掛け算で算出するとか。
こう考えると、バトルロイヤルFPSにおける実力の指標の作り方ってめっちゃ難しいですね。
Apexはどちらかというとキル数重視でここまで来たわけですが、
それは必ずしもバトルロイヤルとしての本質と相容れないところがあります。
制作サイドが次のランクマ改定でどういう結論を出すのか楽しみです。