持ち家か賃貸か
30代もそこそこになってくると何かと周囲で話題になるのが、いわゆる「持ち家か賃貸か」論争。
どちらが適切かについては個々人、あるいは住んでいるところによって異なるため、
一概にどちらが良い悪いという話では片付けられません。
言うまでもなく地方と都会では地価が天地ほど違うわけで、
地方なら一軒家を持つのもそこまで難しくないし、
田舎ほど自立=家を持つことというような風潮はまだ根強く残っているのではないかと思います。
一方、都心に一軒家を建てられるのは選ばれし富裕層のみでしょう。
自分が知る限り、多摩地域ですら分譲マンションに8000万〜1億円の値が付くのがいまの東京です。
最近だと豊洲辺りがアツいそうですが、その辺になるともはや10億でも足りないかもしれません。
しかも、10億出してやっと買えるのが分譲マンションの1室に過ぎなかったりするわけです。
白金高輪や赤坂などの高級住宅エリアに建っている家っていったいいくらなんでしょうか……。
地方では土地は二束三文で売られており、
2000万円も出せば生涯安定して住める家を持つこともそこまで難しくはありません。
もっと田舎の中古戸建なら場合によっては数百万円程度で手に入るかもしれない。
以前祖父母が住む街で不動産を検索してみたら土地付きで80万円の中古戸建を見たことがあります。
とにかく不動産事情は土地柄によって絶望的な格差が存在しているわけです。
自分も田舎出身なのでいままでなんとなく「持ち家の方が勝ち組」感がありましたが、
上京したいまとなっては決してその価値観も正しいわけではないと思っています。
戸建を買うのが絶対正義なら地方に移住するのが間違いなく合理的なわけです。
テレワークが普及しているいま、在籍する会社を変えずに移住するのも不可能ではないと思う。
ただ、じゃあ田舎の生活に満足できるのかという話です。
長いスパンで見れば田舎は田舎ほど衰退していくのが目に見えているわけで、
衰退すれば治安悪化、店舗や民間サービスの減少、税負担の増大など悪いことがどんどん増え、
せっかく購入した戸建もそれに伴って資産価値が暴落することは火を見るより明らかです。
それが分かっているのに地方に戸建を持つのはリスクでしかない、というのが現時点での考え。
じゃあ都会で賃貸なら安泰なのかというと、決してそういうわけでもないと思います。
賃貸は貸主との契約によって住まわせてもらっているに過ぎず、資産価値もへったくれもありません。
毎月払っている家賃は大家の私服を肥やすだけために消えていく言うなればサブスクです。
しかもそこには必ず契約が必要になり、多くの場合は契約に連帯保証人が必要になってきます。
いまは実家の両親が保証人になってくれるのでこれは問題になることはありませんが、
50代、60代になったらそういうわけにもいかないでしょう。
とはいえ嫁も子どももいないので他に連帯保証人になってくれる人が存在しない。
貸主としては、孤独な高齢者を入居させることで孤独死のリスクを抱えることになるわけで、
万が一孤独死したら腐敗した死体によって部屋はリフォームを余儀なくされ、
事故物件として登録せざるをえなくなり、商売の大きな足枷になることが明らかです。
独身高齢者になったとき、都会で賃貸は契約できない可能性が大いにあり、
また契約できたとしても望むような物件に住めないケースは多いのではないでしょうか。
結婚しないことによるデメリットというのはいろいろと多岐にわたると思いますが、
孤独である方が社会的信用が低いのは事実で、
それは住宅問題をはじめとして高齢になってから重くのしかかってきそうな予感がします。
なので、個人的には独身でも分譲マンションを買うというのはそういう悩みから解放され、
ついでに少なくない負担である賃料を払わなくて済むという点でアリだと思っています。
ただ、この場合今度は社会的信用の代わりに金銭的な信用を問われるわけですが。
いくら現行の年収がそれなりにあったとして、30代半ばから住宅ローンなんて組めるんだろうか。
そう考えるとライフプランに関してはもうかなり後手に回っているという印象。
これは20代という最高の時期にぬくぬく実家生活をしていたツケだと思っていますが……
自分のような人は少なくないと思っているので、
いずれそういう属性向けになんらかのビジネスが登場するんじゃないかなと思っています。
お金を払えば連帯保証人になってくれるサービスとか、
国や金融機関が独身向けのゆるい住宅ローンで支援するとか。
……と考えてしまうのはちょっと他力本願すぎますかね。
いずれにしろ、いまのアパートは遅くとも2025年秋には引き払い、
次はワンランクアップした部屋を借りるか買うかしたいと思っています。
現状の金銭事情では転居なんてとても無理だけど、今年から年収は大幅アップしているし、
そこに副業収入も含めれば金銭事情のプラ転はそこまで遠くない……はず。