Chrononglyph

#7880

古参ファンの重圧

今日の出来事ゲーム業界

世界販売1000万本を記録するも目下大炎上中の『モンスターハンターワイルズ』ですが、
それについてゲーム評論系YouTuber「ナカイド」の分析 にちょっと感心したので感想を残しておきます。


モンハンシリーズ最新作のモンハンワイルズは今年02月に発売され、瞬く間に1000万本を売り上げました。
「モンハン最新作だからとりあえず『買い』だろう」と判断したゲーマーが多かったわけです。
しかしほどなくしてファンから「ボリュームが少なすぎる」「ゲームがクラッシュする」
「オープンワールドという新要素とモンハンの面白さが噛み合っていない」等の不評レビューがつきはじめ、
それでも多くのユーザーはアプデに期待を寄せていたと言います。
しかし肝心のアプデが「武器のナーフ」「誰も求めていない自社コラボ」等求めていないものが多く、
肝心のアプデ内容もタマミツネが追加されるくらいで圧倒的なボリューム不足。
開発側の方向性とユーザーが求めているものが違いすぎるということで不満がどんどん爆発し、
ゲーム業界ではいま一番ホットと言ってもいいくらいの炎上案件になってしまっています。


「ボリュームが少なすぎる」というのはあくまでヘビーユーザーから見た観点であり、
全体的にこれまで相当数周回しないとドロップしなかったアイテムが確実にドロップする手段が用意されているなど、
やり込み要素の「ヌルゲー化」によって結論構成に辿り着くまでの時間が短縮された、というのが実態みたいです。
しかし開発側からしたらそこを希釈してただただ厳しい厳選を強いるのは
ゲーム体験の質向上の観点から理にかなっていないと考えているところもあるでしょうし、
これは単にボリュームが減ったから悪い、と言い切れないところではあるように思います。
ポケモンや『原神』など、鬼畜級の厳選要素があるゲームが年々緩和されていることからも時代の流れなのかなと。


ともあれ、運営の思想や時代の流れとヘビーユーザーが求めているものがすれ違った結果、
擁護派が引き下がり完全にネットのおもちゃと化しているのが現状です。
モンハンというブランドがヘビーゲーマーに刺さり続けてきたからこそ、
その膨れ上がった期待を裏切られたということで発狂している古参がいるということなんでしょう。
古参はモンハンをつまらないものと言われたくない。言いたくない。
しかし現実問題として最新作は過去作には及ばなかった。
それがプライドに差し障るのでSteamレビューやSNSで行き場の無い怒りを発散しているというわけですね。


しかし、ここが個人的に感心したことなのですが、
ナカイドさんはそもそも「面白かったかどうか」というのは刺激に対する脳の反応にすぎず、
それを高尚なものとして捉えすぎているのではないかと指摘します。
面白かった、つまらなかったというのはあくまでも個人の感覚でしかない。
それは個人の価値観や思春期にどんなゲームを遊んできたかどうかなどによって180度変わるわけで、
であればこそ他人の「面白いかどうか」という感想に意味なんて無いわけです。
しかし世の中、他人の評価を気にしすぎている人が多すぎる。評価値を絶対的正義と捉えている人も少なくない。
それもまた対立を生むことにしかならないのではないかとナカイドは指摘します。
そしてなぜこんな構図になっているのかと言えば、対立を煽れば煽るほどSNSの広告を目にする機会が増えます。
つまり、プラットフォーム提供者が得をするわけですね。
旧Twitterを買収したイーロン・マスク自身が
「X is the PvP of social media(旧Twitterは対人戦のSNSだ)」と言っているくらいなので、
SNSを提供する側はむしろ対立を生む方が都合がいいんですよ。少なくともマネタイズの観点では。
だからこそ、不愉快なポストがオススメとして挙がってくる。
そしてそれを一度でもクリックしてしまえばアルゴリズムは味をしめて不快なコンテンツをどんどん回してくる。
すると人々は怒りながらもSNSへの依存をどんどん深めていく。


こういう事情があるので、炎上というのは半ばSNSの構造上必然的なものであり、
モンハンワイルズはSNSによって増幅されたネガキャンに巻き込まれている側面があります。
いくらなんでも低評価率88%というのは度が過ぎているでしょう。
評価システム自体本質的に意味が無いものとはいえ、こんなことになるならもう廃止した方が合理的とすら思えます。
ディベロッパーは任意にレビューを非表示にできるくらいの柔軟性は求めたいところではある。
YouTubeが実現できているので、Steamもいずれ追従するような気はしますが……。


ドラクエFFモンハンポケモン辺りの20年以上続いているビッグタイトルは、
めちゃくちゃ面倒くさい古参のおっさんたちが隙あらば叩こうと身構えているので
ちょっとでも寝た子を起こすようなことをしてしまうと、もう炎上を避けるのは難しいんですよね。
彼らの求めるものと開発側のターゲット層(若年層)が求めるものはたいてい異なるからです。
ポケモンもかつて全国図鑑の廃止でめちゃくちゃ炎上したし、自分も古参側の意見を書いた記憶がありますが、
昔のポケモンを知らない最近の人にとってはどうでもいいんですよね。
ただ、いかんせんシリーズものはこういう古参の声が大きすぎる感があると思います。
モンハンワイルズの件は、その古参の期待を損なうだけでここまで面倒くさいことになるんだ、という好例だと思います。
こんな空気感ではもうナンバリングタイトルなんて作られなくなるんじゃないか?


そういえばポケモン公式が05月28日に「07月22日にPokemon Presentsを放送する」と発表し、
めちゃくちゃ遠い日の発表をするということで少し話題になっていたのを忘れかけていました。
ポケモンは来年で30周年となり、おそらく第10世代の本編シリーズの発表があるものと思われますが……
果たしてポケモンは古参の面倒くさい重圧をしのぐことができるのでしょうか。



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