釣り合わない期待と現実
昨日書いた、現在の現場の上司の性格に難があってそろそろ退場を検討しているという話。
ITエンジニアの現場管理職はたいてい性格が悪い、という経験則が真ならば、
今後こういう人を対処できるようにならないと業界に居ることさえ危うくなってきます。
しかももう30代半ばに迫ってきている自分の年齢でドロップアウトしてしまったらアウト。
今更異業種に転職したいですといったところで拾ってくれる業界は少ないでしょう。
そう考えると、自分に与えられた選択肢は2つしかありません。
ひたすら現場ガチャを引いていまの自分でも対応できる上司のいる現場に入ること、
もうひとつは先述の通り嫌な上司にも対応できるようになることです。
前者は運次第、後者は自分次第なので長期的な観点で見ると後者を選んだ方が良い気がします。
経験則として、ITエンジニアの上司はコミュニケーションに独特な障害があると思います。
具体的には、会話相手の目線を考慮した言葉選びができない傾向にある。
自分が分かる言葉でしか話せず、平易な言葉でのコミュニケーションができないんですよね。
言われている方からすると、まるで謎かけをされているような感覚です。
最初に入った会社の研修リーダーもそうでしたが、
部下は上司の頭の中にしか無い答えを探っていくことになりがちです。
「答えを教えてください」というような率直な質問も謎かけで返ってくる。
その結果として上司は伝えたつもりのことが伝わっていないといったことがよく起こるわけです。
めちゃくちゃ極端な例で言えば、中学生が覚えたての英語で幼児に話しているようなイメージ。
それでコミュニケーションが成立しているのかと言われると、ちょっと厳しいと思います。
それに加えて、この手の人はナチュラルにロジハラしがちな傾向にあります。
論理的に正しい方が偉い、というような固定観念を持っているというか。
だから「共通Wikiの隅っこの隅っこに書いてあるじゃん、なんで読んでないの?」
みたいな煽りを(おそらく)悪気も無くしてしまうのではないかと。
どんなにわかりにくい場所でも、少なくともすでに書いてあるのだから読んでない方が悪い、
というような価値観なのでしょうか。自分には嫌味にしか聞こえないですが……。
入場して1ヶ月程度の新参者が膨大なマニュアルの隅々まで把握していたらすごいと思いますけどね。
両者に共通しているのは、
この手の人は「自分が偉い、正しい」という前提のもとで部下を動かそうとしているという点。
だからこそ多少高圧的な態度でも許されると思っているのかもしれません。
ただ、この話の本当に闇が深い部分は実は上司のコミュ力ではなく、
「スキルの切り売り」をする業界特有の闇なのではないかと自分は考えています。
ITエンジニアはどこかの現場で一定期間仕事をするとスキルシートにその経歴が書き込まれます。
そして次の現場との面接前にスキルシートを見てもらい、
やってほしいこととスキルシートに書かれている実績がマッチすると採用されることが多いです。
ここで問題なのは、スキルシートに書かれているとあたかもそれができる前提で話が進むのですが、
実際には仕事をしていた期間が短いと、とてもマスターしているとは言い難いことがあります。
でもこの業界は基本的に常に人手不足なので(2022年度の採用倍率はなんと15倍)、
ちょっとでも触ったことがあればなんやかんやで採用されてしまう。猫の手も借りたいからです。
そして採用した側はバリバリできる人だという期待があって採用するわけですが、
実際にはまったく通用しないということはよくあることだし、
開発環境の多様性を考えればむしろそれが当たり前なのではないかと思います。
自分のスキルシートも新潟時代の職歴から連綿と続いているのですが、
コロナ禍においては短期間でいくつもの現場を渡り歩いた時期もあります。
そして今回はその短期間の現場でやった実績を買われて出向した現場なんですよね。
当然、期待と現実の間には大きなギャップがあり、それで上司をガッカリさせている面は否めません。
上司との認識齟齬が生まれている原因がそこにある可能性を考えると、
あながち上司のコミュ力がすべて悪いと言い切れないのがこの問題の難しいところです。
そういうわけなので次に現場を選ぶ機会があったら、
とにかく面接時に相手の期待とスキルのギャップがなるべく少ないところを選ぼうと思います。