有能な新人としてのAI
02月からCodexで本格的にバイブコーディングをするようになって2ヶ月ほど経っていますが、
バイブコーディングという概念に対して当初抱いていたイメージと現在のイメージがだいぶ異なるので、
軽くその辺の差異について振り返っておくことにします。
まずバイブコーディングデビューした02月当時は、ものすごい開発実績を叩き出しました。
わずか1週間で全体的に低迷傾向にあった2025年の7ヶ月分に相当する規模の改修を行い(#08095 / 2026年02月13日)、
既存のwebアプリはSEO対策、セキュリティ対策、累積的なバグ修正などといった
人力コーディングでは工数の割に報われないので放置されてきたタスクが一気に片付きました。
こうしたどのようなwebアプリにも通用するような実装については、今後もAIに丸投げで良いと思っています。
これは個人のwebアプリ制作プロジェクトにAIという力強いコーダーが新たに入ってきてくれたような感覚でした。
ただ、その後も継続して新機能追加や既存コードの整理を進めていくにあたって、
やはりCodexも数あるコーディング支援ツールのひとつでしかなく、
結局のところ開発主体は自分なのだという認識が強くなっていきました。
もちろんこれはGPT-5.4現在の話でしかなく今後どうなるかはわかりませんが……。
そう思った理由はもちろん意図通りにコーディングしてくれないことがあるという実体験があるからです。
まずAIは基本的に、人間の指示は絶対のものとして解釈します。
つまり人間の指示からして方向性が誤っている場合、AIは必然的に誤っているコードを生成してしまうわけですね。
明らかな間違いはAIが実装を開始する前に確認してくれるかもしれないし、常に確認するように指示することもできます。
しかし、「自分が実装したいこと」を自分が常に正確に言語化できるとはかぎらず、
それぞれの単語のニュアンスによって方向性が微妙に異なるようなケースでは、AIは基本的にその違いを指摘しません。
さらに、実装したいことを過不足なく言語化したとしても、AIがそれを正確に解釈してくれるとはかぎりません。
AIは常にプロジェクトファイルの内容のすべてを把握しているわけではなく、
人間で言えば「めちゃくちゃ有能だけど入ったばかりの派遣社員」みたいなものなんですね。
なのでマニュアル(AGENTS.md)がよほどしっかりしていないと、AIは各ファイルの役割を正確に把握できません。
これによって齟齬が生まれると、わりと簡単にAIは勘違いします。
「プログラミングまったくできないけどClaude Codeに丸投げしてアプリ開発できた!」
というようなドヤ顔ブログをたまに見かけますが、ああいうのはイチからAIに委託するのでむしろ簡単なんです。
なぜならAIが全容を把握しつつコーディングできるので。
既存のプロジェクトにエージェントAIを導入する場合はそういうわけにいきません。
必ずどこかで人間がAIにコードの仕様、意図、役割を説明しなければならず、
そうしたドキュメントの作成をサボってきたプロジェクトではAIはあまり役に立たないこともありえます。
AIは強力なツールであることは間違いないしSEO対策みたいな汎用的なタスクの処理はすぐできますが、
既存アプリを土台に新機能を組み込むような場合は結局人間側もそこそこ頑張らないといけないということです。
もちろん、土台作りの段階からAIにフォローを入れてもらうのもアリですが、
いずれにしろAIにプロジェクトを理解してもらうテクニックは今後の開発で重要になってくるんじゃないかなと。
Codex登場当時はもう人間がコーディングする時代は終わったなどと思ったものですが、
プロジェクト整備やマニュアル化・言語化の重要性がさらに増したこと、
何も考えずにAIに任せっぱなしだといずれ人間はコードさえ理解できなくなる危険性など(#08132 / 2026年03月22日)、
むしろ人間側の負担が増えたような気がしないでもないです。