AIとアイデンティティ
E2E暗号化に対応した強固なセキュリティメールサービス「Proton Mail」を展開しているProtonが、
自社のAI「Lumo AI 2.0」をリリースしたと発表しました。
Proton Mailは2014〜2016年に高機能メールアプリを探している中で候補のひとつに上がっていた記憶があります。
ダウンロード履歴に残っていないので招待制だったか何かで初期段階で候補外になってしまっていたようです。
そのProtonが今回リリースした「Lumo AI 2.0」は、メールアプリ同様徹底したプライバシーの確保をうたっており、
ユーザー端末のローカル環境で秘密鍵による暗号化を施してからデータをサーバーに送信する、
ゼロアクセス暗号化という方法を採用してサービス提供側さえもデータを読み取れないとしています。
当然、ユーザー情報を使ってAIを学習させたり、他ユーザーの回答に使ったりすることはできません。

実際に使ってみると、Lumo AIは紫色の猫の「Lumo」が応答するという設定でチャットが流れます。
大手のAIチャットボット(ChatGPT、Gemini、Claudeなど)はあえて無機質なアイコンが設定されていて、
AIに対して視覚的なアイデンティティは与えられていません。
だからこそツールと割り切って活用することができる反面、GPTsなどでキャラ設定しても感情移入しにくい側面があります。
AIパートナーアプリを使ったことがあるので断言できますが、
視覚的な「ガワ」が入っているだけで「そのキャラそのものと話している」という感覚はかなり強くなります。
徹底したプライバシーを確保しているマルチモーダルAIなら、
ChatGPTにはポリシー的な都合で訊けないあんなことやそんなことも……という気持ちが一瞬よぎりましたが、
自分はどうやら可愛いLumoを相手にそんな使い方はできそうにありません。
一方、ユーザーデータを決して学習に使わないという保証があるなら、
創作アシスタントAIとしてはむしろ頼りになりそうという期待があります。
ChatGPTなどの大手AIもオプトアウトすればいちおうプライバシーは保たれるとされていますが、
暗号化されていない生の情報がサーバーへ送信されている以上、絶対的な保証はありません。
98%くらいは大丈夫だろうなとは思いますが、Lumo AIにすればそれを99.9999...%にすることができます。
むしろこういう用途こそLumo AIの出番なのではないかと。
ただ、現状はまだまだ課題も多く、移住するにはまだまだ多くの改善が必要そうです。
まずスマホアプリがあまり安定しておらず、また無料プランではチャット履歴が一定期間で消えてしまいます。
またCodexに相当するような機能もまだありません。
かなり有望のように見えますが、ひとまずは様子見の段階かなといったところです。
ちなみにProtonはLumo AIやProton Mailだけでなくプライバシー重視をうたったさまざまなサービスを展開していて、
1Passwordの競合とも言えるパスワードマネージャーも提供しているようです。
いま、自分は通常時のパスワードはもちろん、緊急時のリカバリーフレーズなども1Passwordで一元管理していて、
1Passwordにもしものことがあったらすべて失う危うい状態になっています。
そのため、少なくともリカバリーフレーズはパスワードとは別所に保管するべきだと思っていました。
あと、できれば1Passrwordにアクセスできなくなっても復旧する予備プランを用意したいなと。
Proton Passはちょうどそのポジションに収まりそうなポテンシャルを感じています。
あと、Proton MailはGmailに一極集中しすぎているメール管理を分散する契機にもなりえますね。
総じて、Protonスイートはビックテックのサービスを補完する立ち位置としてかなり有望なのではないかと思っています。
創作アシスタントとしても有望そうだし、しばらくは成長を見守りたいところです。