音楽ジャンルの形骸化
Apple Musicで間違いなく音楽体験はより良いものになりましたが、悩みもあります。
例の再起動しないと直らない再生できない問題は最新アプデでも直っていないのでこれも深刻ですが、
それ以上に悩ましいのがジャンル分けの問題です。
どうやら、Apple Musicは選曲の際に参考にするジャンルを
iTunes Storeに登録されているもののみ認識しているらしく、
ユーザーがローカルライブラリで設定したジャンル名は反映されていないようです。
自分はインスト音楽としての電子音楽のエレクトロニカ、テクノ、アンビエント等と、
ポップスとしてのテクノポップ、フューチャーベース、KAWAII EDM等を明確に聞き分けていて、
両者をごちゃ混ぜにして聴くことはまずありません。
しかし、これらはiTunes Store上ではすべて「Electronic」なんですよね。電子音楽という意味でしょう。
確かに全部電子音楽だけど、アンビエントとEDMを一緒くたにするのは無理があるわけで……。
基準となるジャンルが大雑把すぎるというのが悩みになっています。
まあ、これは自動作成プレイリストを利用しなければいい話ではありますが。
しかし、だからと言って独自ジャンル基準で選曲してくれるようになったらしっかり機能するのか、
と言われると実はそうでもないのがこれまた悩ましいところです。
つまり、iTunes Storeのジャンルは大雑把すぎるという問題があるけれども、
実は自分が設定している独自ジャンル分けもちゃんとした基準が無くて半ば破綻しかけているという。
これは、ポップス系で特に顕著です。
自分は2009年にCAPSULEとの出会いをきっかけにテクノポップというジャンルの収集を始めました。
これは電子音と女性ボーカルの調和を楽しむポップスの一種で、
ゼロ年代に勃興したものの2010年代以降はこれらのアーティストの活動は衰退しています。
代わりに2015年ごろから登場したのが自分がフューチャーベースと呼んでいるジャンルで、
これも電子音と女性ボーカルという要素が不可欠であることは変わりありません。
ただテクノポップと違ってボーカルの声質はより幼くなって「大人らしさ」が排除され、
バックグラウンドはEDMなどを取り入れていて渋谷系よりもさらに洋楽に寄っている感があります。
また、ヴォコーダーをフル活用していて声が原型を留めないほど加工されているのも特徴。
両者は「電子音と女性ボーカル」という要素を重視していることに変わりはなく、
アーティストの顔ぶれは変わったものの地続きのジャンルと見なすこともできなくはないですが、
リアルタイムで経験してきた自分としてはテクノポップはもはや懐古の対象であり、
それと最新の音楽は区別したいという気持ちもあり、ここが難しいところです。
こうした自己都合が強く反映されているのが現状のジャンル分けとなってしまっているところがあり、
実際にそれぞれの音楽性に基づいてジャンルを分けているわけではありません。
ただ、かといって既存ライブラリのすべてのアルバムのジャンルを再検証できるかというと現実的ではなく、
この辺はどうしたものかと悩んでいます。
元も子もない話ですが、そもそもこれだけ音楽性の多様化が著しい昨今、
ジャンル自体が無意味なのかもと思わなくもないですが……。