技術革新に追いつけない線引き
しばらく何もしていなかったAIイラスト関連ですが、
ゴールデンウィークで時間もあるので改めてWeb UI環境をローカルに構築していじっています。
Stable Diffusionの登場からまだ半年近くですが AIイラスト界隈にはすでにさまざまなwebサービスがあり、
プロンプト付きで生成したイラストを公開できるpixivのAIイラスト特化版サイトもできています。
なのでそういうサイトで自分好みのイラストを見つけてくれば、
プロンプトを改良してさらに自分好みのイラストを生成しまくれる……と思っていました。
現実にはそういった一定のクオリティのイラスト生成を目指す場合、
ベースモデルの追加学習は不可欠のようです。
試しにAIイラスト投稿サイトからプロンプトを探してきて、
ベースモデルだけで同じプロンプトで生成したらバケモノみたいな女の子が生成されてビビりました。
追加学習はその名の通りAIにベースモデルを元に追加の情報を足させることで、
Stable Diffusionの世界では「LoRA」「DreamBooth」「Hypernetwork」といった技術が存在します。
いずれも、教師データと言われる追加学習させたい画像を用意してくることによって、
特定のキャラクターや絵柄に特化したAIイラストを生成できるようになるというものです。
また、この追加モデルをサンプルイラスト付きで配布しているようなサイトも存在します。
最も手っ取り早いのはそういうところから追加モデルを持ってくることですが、
これだと必ずしも自分好みのイラストを出せる保証はありません。
生成したい理想の画像を教師データとして読み込ませるところがスタートした方が良さそうです。
ただ、その「理想の画像」は当然誰かが描いたもので著作権があります。
Stable Diffusionそのものは学習元画像も著作権の問題をクリアしているので、
ベースモデルのみで生成したイラストは堂々と自分のものであると公言することができますが
(ただし一部のベースモデルは無断転載データを使っているためこの時点でアウト)、
教師データに他人の著作物を使ってしまうと
明らかにその教師データに似た絵柄でイラストが生成されてくるため、
著作権的にどうなのかという疑念が生じてきます。
常識的に考えればそれを公共の場に自分が描いたものとして公開するのはアウトだと思いますが、
現状まだ法規制が存在しないためやりたい放題のようです。
真面目に活動している絵師やAI絵師からしてみればたまったものではありません。
ただしStable Diffusionは複数の著作物を混ぜて追加学習することも可能であり、
複数のイラストレーターから学習させれば元々のイラストを想起させることは難しくなります。
完成物が学習元データからかけ離れていればオリジナルを名乗ってもいい気はします。
仮に教師データの名残があったとしても、それを著作権侵害と言えるのかは微妙な気も。
でもその名残りがある程度強く出ていて元々のイラストを想起させるようならアウトかもしれません。
そうなるとどこからがアウトになるかという線引きは非常に難しい問題になりますね。
意図せずして構図などが似たようなものになることもあるだろうし。
まあこの辺は日本含む世界中の立法府や社会のモラルが決めることなので、少し様子見します。
それはそれとして生成イラストを公開しない分にはこういった諸問題は関係ないので、
自分はしばらくの間はローカル環境でAIイラストをいじくり回すことになると思います。