YouTubeリスナーとしての元年
先々週くらいまでは過去配信や切り抜きを見て「面白い子だなー」と満足する程度だったVTuberさくらみこですが、
こないだの『The Game of Sisyphus』(ザ・ゲーム・オブ・シーシュポス、通称「岩おじ」)
の配信をたまたまリアルタイムで見た辺りから本格的に推しになりつつあります。
「岩おじ」は『Getting Over It with Bennett Foddy』(通称「壺おじ」)などと同じ、
たった一度の失敗で相当の道のりをやり直す羽目になるタイプのゲーム。
配信映えするからなのか、少し前にホロライブの間でプチブームになっていました。
これはシーシュポスの神話にあるようにひたすら坂道で岩を押すゲームなのですが、
坂道はスタートからゴールまで一直線につながっていて、
万が一手を離してしまうとどんどん逆走してしまいます。
1区間ごとに左右に岩を止めるストッパーはありますが、
運が悪いとそれをも通過して数時間かけて登ってきた道のりをやり直す羽目になることも。
しかもゴール付近になってくると初見ではほぼ回避が無理と言えるような理不尽な仕掛けや、
セーフティな足場が細くなっているイライラ棒のような場所もあり、
これを心を折らずにやり切るのはかなりの精神力が必要になってきます。要は苦行です。
みこちはゲームはあんまり上手くない方で、特に2Dアクションやパズルや五目並べは致命的に弱いので
「赤たん」「小学生」「みこち俺恥ずかしいよ」等々とリスナーにイジられることが多いのですが、
このゲームでは理不尽な憂き目に遭いながらもひたすら岩を転がし続け、
ついに5日目、頂上へ到達しました。これを心を折らずにやり切るのはそうそうできることではありません。
なんというかこの天然ロリ声の女の子に、プロのストリーマーとしての矜持を垣間見た気がしました。
同接は4万人くらいだったと思います。ただ岩を転がすだけの配信に4万人ですよ。
VTuberはもはや声が可愛ければいいというだけではなく、あらゆるゲームプレイをおもしろおかしく見せ、
リスナーとの掛け合いもコンプラ、キャラ作り、リスナーとの距離感等々を勘案しつつ盛り上げ、
さらにトラッキングや表情モデルのスイッチなどを駆使して3Dモデルも適切に動かしていく必要があると。
いわゆる「プロのゲーム実況者」としての側面があると思います。
しかもホロライブ所属のVTuberはオリ曲歌唱やライブなどアイドルのような側面をも併せ持っているからすごい。
長時間生配信しつつも人物としての潔癖を求められるというのはとてつもないプレッシャーです。
そういう点において、みこちは天性の才能があるとしか思えないエピソードが多々あり、
リアルタイムで配信を見ていてもそれを感じさせることが多いです。
決してゲーム自体はめちゃくちゃ上手いわけではないのに、下手なプレイを含めて非常に見応えがある。
チャンネル登録者数200万人というのも頷けます。
こういうVTuber文化を目の当たりにして改めて思うのは、
アマチュアのゲーム実況が脚光を浴びる時代はとっくの昔に終わっていたんだなということですね。
トップランカークラスに上手くなければ、声無しゲームプレイ動画なんてほぼ需要は無い。
少なからず実況文化ならではのトーク力やキャラ作りが必要であり、
そういった要素で評価されないストリーマーはキュレーションの仕組みに埋もれていくしかないのでしょう。
ただ、有名ストリーマーにリスナーが集中している昨今は、
ストリーマーが有名であればあるほど、今度はリスナーの方が埋もれてしまうという問題もあります。
仮に自分がみこちの配信でコメントしたとしても拾ってくれる可能性はゼロに近いでしょう。
零細ストリーマーの配信ではストリーマーとの距離がかなり近いので、そういう魅力はあるのかも。
まあ、まれにそういう配信がオススメに挙がってきたときに覗いてみたりしていますが、
99%は声質やガワや配信内容が微妙なのでそっ閉じしてしまうんですけどね……。
まあいずれにしろこれまであまり観る側になってこなかった自分としては、
大手にしろ零細にしろいくらでも掘り出しの余地があって楽しいです。
2024年はある意味自分にとってのYouTube元年なのかもしれない。