不寛容社会の子育て
朝、新宿行きの京王線に乗っていたら子連れの乗客が立っていました。
通勤時間なのでかなりの混雑状況です。
すると、子どもを抱えた母親の前に座っていた男性がふと顔を上げると、
「どうぞ座ってください、気づかなくてすみません!」と気前よく席を譲っていました。
電車を利用しているとこういう場面は稀に遭遇します。
ネットを見ていると、子連れ客は「子連れ様」と揶揄され叩かれがちです。
先日もスープストックトーキョーというチェーン店が離乳食を無料提供することを発表し、
なぜか軽く炎上していました。本格的にモラルが終わってきている感じがします。
子連れ客を叩く根拠としては、「うるさく泣き喚く子どもを宥めるのは親の責任であり、
それを放置しているのは周囲に対して迷惑だ」「子連れは敬えという上から目線が鬱陶しい」
といった意見が主に散見されます。
が、自分個人の経験で言えば、
泣き叫ぶ子どもを放置する親は過去1度だけ八重洲のカフェで遭遇したことがありますが、
あれはかなりのレアケースで数年に1度出くわすかどうかといったレベルだと思います。
子連れであることを理由に高圧的に振る舞う親なんて見たことがありません。
むしろ電車内で子どもが泣き出したので周囲に謝っている母親を見たことがあるくらいです。
しばしば指摘されるように、結局子連れ叩きは独身高齢女性の嫉妬でしかないのだと思います。
むしろ嫉妬を完全に排除して論理的に子連れを叩くことなんてできるんでしょうか。
よっぽどイレギュラーなケースをその界隈の標準かのように語るのはフェアではなく、
それは子連れに限らず(もちろん独身女性も)一概に叩くことはできません。
ただ、ひとつ言いたいのはこの超少子高齢社会で子どもを産み育てる決意をした人というのは、
基本的に敬意を表するべきであって見下すなんてとんでもないということです。
いまから産まれてくる子どもは
生まれながらにして3000万円以上の世代格差を背負っていると言われています。
将来自分たちの数倍はいるであろう老人を支えなくてはならないことが確定的に明らかだからです。
それが明白だから、もう若年層は子どもを欲しくない人というのが多数派になりつつあるわけで。
この衰退社会で子育てをするというのは、それなりの覚悟が必要でしょう。
価値観の違いだけじゃなく物価高のスタグフレーションで金銭的にも相当厳しいだろうに。
それを、もしかしたら将来その子どもが納めた税金で生きていくかもしれない独身風情が、
子どもや子どもを育てている人を叩くなんて本当に失礼千万なことです。
子どもを産むことを諦めたのならせめて静かにしていろと言いたい。
まあ年齢的にアウトでも諦めきれないからこそ嫉妬して毒を吐いているんでしょうけど……。
独身男性も某所に蠢いていてよく女叩きをしていますが、
最近は独身女性も悪目立ちしてきていて嫌な傾向だなと思ってしまいます。
そして改めて思うのは、ネットの常識は現実の非常識であることも間々あるということですね。
ネットに毒されすぎないように気をつけたいと思います。