Pixivの劣化について考える
特定の分野を独占しているようなwebサービスの運営期間が長くなってくると、
なぜかどんどん改悪してユーザーにとって使いにくくなっていくのはよくあることです。
競合相手不在による運営の怠慢なのか、ユーザーが増えすぎて対処しきれなくなるのか、
原因は定かではないですが、改悪するケースがかなり多いのは確か。
GAFAの主力サービスだってここ数年で改悪されたとよく言われますしね。
'00年代からイラスト投稿サイトとして続いている「pixiv」もそのひとつです。
pixivはその性質上、同人活動のプラットフォームとして機能している側面もあり、
それは昔からいまも変わっていません。漫画家の卵が作品を投稿していたり、
イラストレーターを目指すユーザーが練習絵をアップしていたりします。
クリエイター側から見て重要なのは言わずもがなですが、
それは利用者側から見て作品がタグによってまとめられるため、
特定クラスタの作品を探しやすい、ひいては推しのクリエイターを見つけやすい側面もあります。
近年は旧Twitterをメインの活動場にしているクリエイターは多いですが、
そういう人たちもpixivにも同時投稿するという人は多いように思います。
こうなるとpixivは特定キャラクターの作品を探す場所としてうってつけ……と思うじゃないですか。
実はこれは半分正しくて半分間違っています。
半分合っているというのは、プレミアム会員になれば確かにタグベースでの検索は機能します。
逆に言えば、課金しなければそういう用途では使えないということです。
どういうことなのか。
pixivでは、検索結果は常に「投稿が新しい順」で表示されます。古い順でもいちおうできます。
しかし時系列によるソートはほとんど意味がありません。
なぜなら投稿者の中には悪意の有無はさておき、
とんでもなくヘタクソな絵をアップする人が少なくないからです。むしろ圧倒的多数派です。
その低クオリティで精一杯なのか、人を不快にしようとしてアップしているのか、
投稿者の思惑は分かりませんが、いずれにしろ見る側はそんなのは見たくないわけです。
しかし、「いいねの多い順」等はプレミアム会員しか使えないので、
結局低クオリティの落書きを「見ないようにする」ということは無料の範囲ではできません。
(ちなみに単純な「いいねの多い順」はそれはそれで18禁絵だらけになってしまっているので、
pixivプレミアムの設定では「女子のいいねの多い順」でソートすることもできる)
いちおう、スパム対策にミュート機能というものもあります。
これを使えば特定ユーザーの投稿を非表示にできるというものです。
それならせめて、不愉快なユーザーを片っ端からミュートすれば平和になる……と思いきや、
なんとこれもプレミアム限定なんです。ここが一番腑に落ちない。
正確には無料ユーザーでも1人まではミュートできますが、もはや何の意味もありません。
運営はスパムまがいな不愉快な絵を投稿する人を擁護する立場なんでしょうか。
一所懸命に描いた上でクオリティが及ばない作品に不快感を感じることなど無いのですが、
pixivというのは性癖の博覧会みたいな側面もあり、
理解し難い特殊性癖の絵を恥ずかしげもなく全年齢指定で投稿する人も少なくありません。
特に近年は海外勢(英語圏)のユーザーにその傾向が強い。
ちょっと精神的にヤバい人なのか、
同じような構図のアブノーマルなヘタクソ絵をとんでもない数投稿しているんですよね。
Stable Diffusionで生成したわけでもなさそうなので全部手描きしているのでしょう。
しかもそういうユーザーが特定キャラクターのタグの検索結果に何人もいる。
最悪の場合、そういう投稿がほとんど占拠してしまっているようなタグもあります。
運営はこれらをセンシティブコンテンツ扱いしないどころかミュートさえさせないという。
なんでそういう方針にしてしまったのか理解しがたいです。
これのせいで好きなキャラクターの絵を探すことを諦めた人は多いのではないでしょうか。
閲覧者側が不快な気持ちになって去っていくだけで済むならともかく、
それは結局真面目に同人活動している側がファンを獲得する機会を減らしていることでもあり、
結構深刻な問題なのではないかと思います。
ある程度ファンを獲得した人は旧Twitterに移動するなどすれば対処できるかもしれませんが、
駆け出しの絵師なんかにとっては黎明期と比べると厳しい環境なのではないかと。
うーん、でもここまで書いておいてなんだけど
これって本質的には運営というよりも投稿者が全面的に悪いような気がする。
冒頭で長期運営しているサービスは改悪する傾向があると書きましたが、
Google検索の悪質サイト問題やAmazonのサクラ問題だって
サービスを悪いことに使っている人が消えればなんの問題もないわけですからね。
単にネットの治安が悪くなったというだけの話なのかも。
とはいえGoogle検索から悪質サイトを完全に締め出すのは結構難しそうです。
その点、Pixivはまだ対処が簡単な方のはずなので頑張ってほしいところ。
5いいね以上の作品のみ表示する、海外の投稿を非表示にする等やり方はいろいろあるはず。
試しにポケモントレーナーのリーフちゃんで検索して新しい順に80ページほど遡ったところ、
2016年以前は海外からのアブノーマルな投稿がまったく存在しないことが判明しました。
逆に2017年以降は完全に地獄です。この頃に何か転機があったのでしょうか……。