不誠実な人の恋愛欲求
以前、人生でどうしても許容できない(嫉妬してしまう)2人を挙げ、
それらの共通点はなぜなのか、そしてなぜ自分は嫉妬してしまうのかを考察したことがありました
(#05885 / 2020年01月30日)。
それの結論としては、挙げた2人は自分の思い込みが作り出した「仮想敵」にすぎず、
嫉妬の本質は自己ルールを否定できない自分自身に対する失望にあるのではないかということでした。
もう少し補足すれば、競争原理では自分は彼らよりも人として優っているという自負があったので、
それに負けてしまったという事実を受け入れられない……と言ったところでしょうか。
2023年現在の自分は、そもそも嫉妬のメカニズムの根幹である競争原理を否定する立場にあるので、
改めてその2人を思い浮かべても2020年当時のような嫉妬感情は生まれてきません。
ただ、その2人のやっていることが自分の価値観に反するのは事実です。
さすがにもう彼らや彼らを知る人がこの記事を直接読む機会は99.9%無いと思うので、
具体的にどういうところが価値観に反するのかを書いてしまいましょう。
1人目は、高校時代のいじめられっ子です。
彼は学業が絶望的だったことはもちろん、あらゆる面で人に劣っていました。もちろん容姿もです。
社会人生活も当然うまく行かず、職業訓練を経て製造系に勤めているという噂を聞いたのですが、
あるときに退職代行サービスを使って退職したと聞いたのでいまは無職かもしれません。
ただ、そんな彼にも彼女がいるそうです。それを聞いたときかなり耳を疑いました。
頭は悪い、仕事もできない、趣味も無い、誰が見てもブサイク、性格も悪い、けど彼女はいる。
そんなことってあり得るんだろうかと。
どうやら20代中盤にブランドものなどを買い漁ってファッションをいくらか改善し、
ガールズバーなどでのコミュニケーション経験を経て街コンに参加することでお相手をゲットしたようです。
その縁がまだ続いているのかどうかは知りません。続いていたら年齢的に結婚してそうです。
それを聞いたとき、もしかしたら何も持たない底辺だからこそ
逆転ホームランになりうる恋愛に十分本気を出せるのかもしれないと思ったものです。
都会でバリバリ働くサラリーマンほど相手に恵まれない一方で、
地方の不良たちほど非常に早い段階で結婚して子どもをたくさん作っているのはよく聞く話。
まあ、社会不適合者である彼に同居生活や子育てができるとは思えないですけどね……。
2人目も同じようなもので、人としてダメダメだけど恋愛だけは成功したと言うパターンです。
こちらは嫉妬関連を抜きにして非難に値することをした悪い人なので、
その文脈でまた後日改めて紹介したいと思います。
自分は以前、現代日本の自由恋愛は優生思想そのものだと批判しました。
つまり人として優れている方が恋愛市場では有利であるというのはれっきとした事実だろうと。
逆に言えば人として劣っていると恋愛市場からは弾かれるようになっている。
もちろんあらゆるケースがそれに当てはまるとは言いませんが、
そういう価値観は根強くあると思います。
昔はそれとは違う文脈で「お見合い文化」なるものが存在し、
適齢期になったらとにかく誰かと結婚して身を固めないとダメという風潮が強くありました。
だから容姿で勝てない人たちもお見合いで半ば強制的に結婚することになった。
しかし個人主義が強い昨今はそれもありません。良く言えば結婚しない自由が認められているわけです。
女子側も相手を選ぶ権利があるという文脈で考えると、
競争社会で劣っている男性が結婚する見込みは非常に少ないし、それは統計でも明らかです。
その方が生物としては自然なことなのかもしれません。
その優生思想的自由恋愛の文脈からすると、弱者男性は本来無条件に弾かれるような存在です。
もしそれでも恋愛市場に参加したかったら、
まずは社会的ステータスを上げる、プライベート面での活動を充実させる等々、
異性に認められるような資産を用意しなければなりません。
ある程度ステータスが上がったところで改めて相手を探しに行くのが人として適切かと。
彼らの場合は順序が逆なんですよね。
まともに就職もできないようなステータスなのにガワだけ盛って恋愛市場に突っ込むのは、
ある意味恋愛市場における詐欺行為です。騙された相手はさぞ無念でしょう。
仮にそれで表面的にはうまく行ったとしても、
結婚という取り返しのつかない段階に至ったらさまざまなことが破綻するのが目に見えています。
まあ、これらの批判も結局自分が恋愛に本気になれないことの自己正当化に過ぎないんですが。
そもそも恋愛市場には年齢制限があるわけで、順序がどうのと言っていられない事情もあるでしょう。
年齢的に手遅れになった自分が彼らを批判できる道理は無いのかもしれません。悔しいですが。
ただ自分個人としてはやはり順序をひっくり返してまでやろうとは思わないし、
そういう意味でやはり彼らとは相容れることはないと思います。
そして少子化時代と言われているのは、自分のような考え方の人が多い証左なのではないかと。
自分が順当に社会的ステータスを上げるために仕事や趣味に打ち込んで恋愛どころではない中、
そういう過程をすっ飛ばしてただ欲望に正直に走る彼の生き様を認めてしまったら、
いままでの自分の人生はなんだったんだということになりかねないので。