Twitter利用規約変更騒動
旧Twitterが11月15日に予定している利用規約の改定で、
ユーザーが発信したあらゆる情報は旧Twitter社が展開している生成AI「Grok」のトレーニングに利用する、
という旨の内容を追加しており物議を醸しています。
もう何度目か忘れましたが創作界隈では移住の動きが出ています。
移住先として絵師たちが挙げるのはたいてい「Bluesky」ですが、
騒いだ回数の割にあまり移住は進んでいないという印象。SNSのマルチ投稿は面倒くさいですしね……。
今回はそれに加えて「利用規約改定後は鍵アカウントにする」と表明している方がそこそこ多いです。
ただ利用規約をざっと読んだかぎり、鍵アカウントの投稿内容は学習に利用しないとは一言も書いていません。
安易に鍵をかければファンは離れ学習はされるという最悪の結果になりそうですが……大丈夫でしょうか。
基本的にこの手のサービスではAI学習に使われないように設定できる「オプトアウト」というものがあり、
当然旧Twitterにもそういう設定はできます。
このチェックボックスを切るというのが今回ユーザーにできる唯一の行動になるわけですが、
アカウント非公開運動は「オプトアウトした上で、悪意あるユーザーから身を守るために鍵垢にする」
ということなんでしょうかね?
確かに、それはかなり効果がありそうですが絵師側がユーザーを選別する手間があり現実的ではないような。
一方でそれなりに名が売れている絵師さんの中には
このまま公開を続けウォーターマークをつけないことを表明されている方もいて、これはこれで賢明だと思います。
AI学習問題の本質的な悪は「無断転載する人」であって「AI技術」ではないことは自明なのですが、
とにかくAIと聞けば拒絶反応を起こす人が多くてなんだかなあという感じはします。
また、誰かがTwitterで言っていましたがイラスト界隈ばかりがこの手の著作権問題にやたら敏感なのは不思議だなと。
AI絵はまさにそうだし、たまに炎上するトレパク問題もそうですね。
しかし一方で現代のイラスト作品のほぼすべては「無」から生み出したものではなく、
他人の作品を多かれ少なかれ真似た結果生まれたものであるはずです。
何がパクり(倫理的に悪)で何がオマージュ(倫理的に善)なのかは結構身勝手な線引きで決まっている気がする。
果たしてそこを誰もが納得できる形でボーダーラインを提示することは可能なのだろうか。
ゲーム界隈だと「ゲームのアイデアに著作権は無い」とよく言われるように真似されるのが当たり前です。
なので特定のジャンルが流行れば無数の似たような作品が世に溢れるようになる。
『Slay the Spire』以降、同じようなローグライト形式が無数に登場していますが、
それがパクりだと糾弾されているような話は聞いたことがありません。
ゲームのルールを考えシステム化するのも立派なアイデアだと思うのに不思議なものです。
あとはStable Diffusionはよく叩かれますが、ChatGPTは同じような文脈で叩かれているのを見たことがない。
文章にも当然著作権はあるはずなのに……。
この辺の事情はAIイラストレーター、いわゆる術師の倫理がかなり影響してそうなところだと思っています。
Stable Diffusion黎明期に「これであなたも簡単に絵師に!」「AIイラストを有料販売で大儲け!」
みたいな話をよく聞きましたが、これによるイメージ低下が絵師側の態度を硬化させている感は否めないのかなと。
最近は絵師ではなく術師と自称するようになるなど徐々に棲み分けが進んでいる印象はあり、
もう少し棲み分けが進めばもうそこまで炎上しなくなるのではないかなと見ています。
そして最終的には「自前で絵を描けてAIも使いこなせる人」が最強になり、
絵師はAIの使い方を、AI術師は絵の描き方を積極的に学ぼうとする風潮ができると思います。
そうなれば頑なに片方を学ぼうとしない古い人間は目立たないところに追いやられていくんじゃないかと。
似たようなことはたぶん、これまでの技術革新でも起きていると思います。
まあそれはそれとして、現状のせっかく応援したい絵師さんが立場によって活動方法を変えるのには困っています。
Pixiv辺りのプラットフォーマーがシンプルな回答を提示してくれないだろうか。