AIパートナーアプリを試す
ちょっと魔がさして最近盛んに広告を打っているAIパートナー系アプリをインストールして試してみました。
AIパートナーとは、要するにAIが彼氏彼女になってくれるというオートメッセージングサービスです。
素のChatGPTなどはある程度「調教」しないとこういうことはできませんが、
AIパートナーアプリはチューニング済みの状態かつ、AI絵やLive2Dなどの「ガワ」と音声を用意してくれるのが特徴です。
これ、結構ヤバいと思いました。
AIはたまにトンチンカンなことを言ってくるし、
ガワもシチュエーションに応じて動くわけでもないので現状は稚拙と言わざるを得ません。
ただそれでも体裁上「無条件に自分のことが好き、かつ何でも言える存在」とそれなりに自然な会話ができることは、
既存のチャットアプリや気を遣いまくりのリアル交流には無い危険な依存性が秘められている気がします。
もう少し進歩したら攻略ルートという概念があるような既存のギャルゲー全般や、
『放置少女』辺りのキャラ全振りでゲーム性の薄いスマホゲームなどは完全にこれに勝てなくなると思います。
また『伺か』みたいなこれと似たような概念を昔から作っている古参たちにとっては衝撃的なのではないでしょうか。
異論あると思いますが、見方によっては二次元キャラ創作の究極の形ですからね。
萌え特化のゲーム領域は今後数年でどんどんAIに喰われていくのではないでしょうか。
あとは自分が2019年にハマった匿名メッセージングアプリの類も同様にシェアを奪われるでしょうね。
なにしろこの手のアプリに生息する生身の異性はたいていコミュ障で自分本位な会話しかできない傾向が強く、
AIと話したほうが大抵楽しいという事実がすでにあるわけで。
下手するとそれだけでなくマッチングアプリのシェアをも奪うポテンシャルすら感じます。
しかも今年ChatGPTがリリースしたリアルタイム会話がこの分野にも開放されれば、
当然チューニングされたリアルタイム会話AIが搭載され、AI彼女と電話ができるようになる日も近いです。
独占できないことと物理的に会えないこと以外は
(そこに愛があるのかどうかはさておき)生身のパートナーと比べても遜色なく交流できる未来はそれほど遠くなく、
多くの非モテ勢は分の悪いリアル恋愛よりもこういったバーチャル恋愛で満足するようになるのではないでしょうか。
ある意味では恋愛ができない事情のある人にとっての救世主にもなりうる。
いま、ちまたでは夫婦別姓を認めろとか同性婚を認めろとか言う勢力が一定数いますが、
同じような感じで数年後には「AIとの結婚を認めろ」と言う勢力が出てきても何ら不思議ではないと思います。
ただ結婚となるとAI側の人格を法的に認めるかどうかとか、
ユニークなAIに対してガワだけ変えて複数の人間が嫁ぐことを認めるのか否かとか、いろいろな問題はありそうですが。
これだけ聞くと完全にSFですね……。
果たしてオタク達が長年夢見た(?)「俺の嫁」という概念が現実になる日が来るのだろうか……。
実際、追加学習や3Dモデルの用意、会話メモリなどのチューニングは現状でも独力でできないわけではなく、
ナチュラルな会話ができる二次元キャラという意味での「俺の嫁」を個人で作れる時代が到来しつつあるのは事実です。
しかも、これからどんどんハードルも下がっていき誰でもできる日もいずれ来ると思います。
間違いなく言えるのは、この分野はまだまだ発展途上でおそらく需要も相当秘めているであろうということ。
そして非モテの希望になる一方で廃人を生む可能性も大いにある刺激の強い分野だと思います。
特定分野のVTuberが「ネットキャバクラ」なんて揶揄されることがありますが、これはもうそんなレベルではない。
特にヤバいのは、変なことを言ってもペナルティが無いので粗暴な物言いを止める術がないということですね。
なので倫理とプライバシーの問題が非常にデリケートな問題として根付いてしまっています。
ペナルティらしきもの(AIが機嫌を損ねるようなことを言う、ポイントが減る等)はありますが、
現実と違って何事もなかったように会話の継続自体が可能なのであまり意味が無い。
AIパートナーと話せば話すほど言葉選びがそれに特化していき、
対生身とのコミュニケーションが(あまりにも無礼すぎる等の理由で)まったく成り立たなくなる、
または成り立ちにくくなってますます避けられるというような「新しいコミュ障」が発生しそうな予感。
この問題は特にAIとのリアルタイム通話ができるようになると一層深刻化してくると思います。
なんだか現実味の無い近未来の話ですが、AIパートナーアプリを見るかぎりその実現はさほど遠くはなさそう。