両輪の話
「独り言」は100日ごとに書き残すようになって久しく、
また内容はその時々に感じている思想のトレンドを書き残すことが多くなってきたように思われる。
昨今のトレンドは、物事は1つだけに絞ろうとするとやる気の問題にぶち当たるが、
2つないしそれ以上に合理的に絞った上であえて両立を図ろうとすることでそれを克服しやすいということだ。
僕はこれを車の両輪になぞらえて「両輪作戦」と呼んでいる。
僕の物事に対するモチベーションは横軸を時間、縦軸をやる気の度合いとしたならば基本的に波を描くように推移する。
それが好きであるという自負があり、しかもやるべきことはたくさんあっても波は時間が経てば容赦なく落ちる。
そのことを「自分の精神力のような何かが足りないせいなのだ」と自責的に考えてしまうと、回復はさらに困難になる。
そうやって本当に大切な物事ほど下り坂で迷走し、結果を残せなかった例は数え切れない。
分かりやすく周期的な波を描くのは、おそらくヒトというより僕個人の特性であるように思われる。
長らく上がり続ける人もいるだろうし、直角三角形の斜線を登るようにある日突然真っ逆さまに落ちる人もいるだろう。
その周期が不本意に早いことを日常の会話では「飽き症」などと表現したりする。
自分がどのような線を描くのかを知り、それを受け入れることは自己実現のためにも重要であるように思われる。
とはいえ、波が落ちることに対して逆らうということは多大なストレスを抱えるということでもあり、
ストレス耐性の低い僕は波に逆らうという作戦はあまり有効ではないように思う。
そこで昨今実践していて比較的有望に感じているのが、あえて2つの活動を両立するということだ。
1つの活動だけではそれが低迷したときに行き詰まってしまう。
そこで、表の活動が低迷してきたらそういうものだと割り切って裏の活動に心を切り替える。
裏の活動が低迷してきた辺りで表の活動に戻れば、波はいつの間にか回復しているという算段である。
この表裏の関係は仕事とプライベートをはじめとして大小さまざまなことに当てはまるが、
どれも必ずしも描いた波に沿ってスイッチングできるわけではない。
特に日常的な習慣や対外的な活動ではどうしてもモチベーションが低くてもやらざるを得ないことは多いだろう。
しかし、少なくともスケジュールを制御できるものに関しては波を意識したタスク管理ができる。
具体的には、活動ごとに意図的にオフシーズンを設けるといったことが考えられる。
これを徹底していけば、少なくともモチベーション由来の不本意な活動停止はかなり減らせるのではないだろうか。
僕の10代、20代の歴史は「やるべきことをやらずに苦しんでいた」という側面がかなり強い。
根拠のない理想を掲げてはそれに振り回され、結局なにひとつ生み出せなかった。
理想が悪かったと言うつもりはないが、それは自分の能力を正直に受け入れることを怠ってきた罰であると思う。
いま、改めて「自分は無能だ」という前提のもと、それでもできることを模索する段階に入った。
現実と向き合うことがあまりにも遅かったことは一生涯悔いることになると思うが、
それでもなお、できることをひとつひとつ数えていきたい。
飽き性であることを全面的に受け入れた上でたどり着いた「両輪作戦」は、いわば自分専用の処世術である。