ノベルゲームのゲーム性
1ヶ月ほど前でしょうか、Discordのボイチャでノベルゲームの話になって、
「ノベルゲームはゲームと言っていいのか?」と冗談混じりに突っ込んだら戦争になりかけたので、
大事になる前に引き下がったということがありました。
この問題提起に対する自分の立場は、「ゲームと言えなくないが、『ゲーム性』はきわめて薄い」という考えです。
ゲーム性とは何かということに関してはまだ整理しきれていない部分もあり発展途上なのですが、
少なくとも「なんらかの入力装置があり、その入力によって結果が変わること」は必須条件だと思っています。
たとえばムービーゲームと揶揄されるような、カットインがあまりにも多いRPGがあったとします。
これをゲームたらしめているのはカットイン(動画)以外の戦闘だったり移動だったりするわけで、
動画部分そのものはQTE(動画中にボタンを押す指示がありその成否によって結果が変わるシステム)
が無いかぎりはゲームとは言えないでしょう。
ノベルゲームについても、セリフをAボタンでスクロールして読む部分については、
入力装置は使っているものの「入力によって結果が変わる」という条件を満たしていないのでゲームではありません。
ノベルゲームをかろうじてゲームたらしめているのはゲーム中の選択肢の存在です。
これによってマルチエンディングが用意されており、それをユーザーが選べるのでなんとかゲームが成立している。
もし、ノベルゲームの構成が「シナリオ、選択肢、イラスト」のみだったら、
それはいわゆるゲームブックと同じでありデジタルゲームにする必要さえありません。
そういう意味では「ゲームだが、デジタルゲームである必要性が無い」と批判することはできそう。
「ムービーがあるから本では成立しない」と反論されたところで、そもそもムービー部分はゲームではありません。
要するにノベルゲームは「デジタルゲームプラットフォームに便乗した芸術品」であるわけです。
『スーパーマリオメーカー』における「全自動マリオ」系の作品なんかも同じ括りでしょう。
あれはゲームプラットフォームに作られた『スーパーマリオメーカー』というプラットフォームの中に作られた芸術品です。
結局のところ、ノベルゲームはゲーム性という枠組みでは
本当にギリギリの定義に足をかけているに過ぎない存在、と言わざるを得ません。
ただこれをノベルゲームファンに言ったところで反感を買うだけでしょうから言いませんが。
いや、そもそも本当のノベルゲームファンはこれがいわゆるゲームでないことを十分承知でしょう。
本当のファンなら「ノベルゲームはゲームじゃない」と言われたところで眉ひとつ動かさない気がします。
もちろんこれは、ノベルゲームが面白いかそうでないかとはまったく関係ない話です。
まぁノベルゲームが面白い≒ストーリーが面白いという話ではありそうですが、
個人的にはそういった文脈とはまた違ってノベルゲームらしさに対して「面白そうだな」と思うことはあります。
先日、VTuber宝鐘マリンさんの切り抜き動画を見たのですが、
そこで「『ときめきメモリアル』の爆弾システムは現実の女子社会のリアルを反映している」という話があり、
こういうのはノベルゲーム特有の面白さかもと思いました。
ときメモといえば恋愛ゲームの代表作ですが、すでに好感度が高い女の子のデートを断るなどして期待に沿わないと、
「俺君が〇〇ちゃんに対して冷たくしている」と女子ネットワーク間で情報共有され、
好感度の高い女子が所属しているグループ全体から白い目で見られるということがあるというんですね。
このとき、好感度の高い女子は心傷を負って爆弾マークが点灯し、
それでもなおこちらから改善のために行動しないといずれ爆発して好感度が激減するというイベントが起きると。
この辺は女子のリアルな心理をしっかり反映していて面白いです。
自分もかつて『パワプロクンポケット』シリーズを何作かプレイして、何人かの女の子を攻略しました。
このゲームは野球パートとストーリーパート(筋トレ、バイト、デートなどをする部分)で明確に分かれていて、
サクセスパートはいわゆるノベルゲーム的な構成になっています。
確かに思い返してみれば、女の子の攻略はそれなりに熱中したし達成感もあったし面白かったような気がします。
「告白成功まで行けるかどうか際どい」という状況にこそノベルゲームの面白さがあるのかもしれませんね。
そこに駆け引きがあるのだとしたら、それもまたゲーム性と言えるでしょう。
ノベルゲームは「ボタンの入力による成否」とはまた違う文脈でゲーム性を担保しているゲーム……
と言えなくもないですが、まぁそれはそれなりに出来が良いノベルゲームに限られるんだろうなとも思います。
自分にとってノベルゲームは未開拓の世界ですが、正直ハードルは高いです。
先述の面白さが内包されているよっぽどの名作ならやってみたいけれど、凡作にはまず手が出ないでしょう。
ただ、いわゆるゲーム性の豊かなゲームにちょっと疲れつつあることを自覚している昨今を踏まえると、
もしかしたら中年期以降の救世主にもなりうるのではとも思っています。
まぁ、とはいえ今後はAIに取って代わられる分野でもあると思いますけどね。