音質の壁
エレクトロニカを知った翌年の2010年に出会うも、
当時は好きではなかったAphex Twinのアルバム『Selected Ambient Words Volume 2』(以下、SAW II)。
当時の自分はエレクトロニカ(IDM)にAutechre的な奇怪さを求めていましたが、
同時にSquarepusherのドリルンベースのような騒々しさも求めていました。
その交差点に位置するAphex Twinの90年代後期作品が好きでよく聴いていたのは言うまでもないのですが、
しかしSAW IIは同じAphex Twinのアルバムでありながら、
あまりにも求めている路線からズレたところにある音楽として理解できませんでした。
その後、大人になればなるほどアンビエントの良さが耳に沁みるようになり、
SAW IIもいまではアンビエント系の代表格のような存在になっています。
そこで登場した2024年のExdended Edition、いわば30周年記念盤。
実は「買おうかな」とブログで言及しておきながらなんだかんだで1年以上買っていません。
あまりにも絶妙な価格帯や諸条件が重なってしまっていることもあり、かなり悩ましいからです。
後述の件も踏まえると買わないのが正解っぽいんですが、それでもやはり15年の付き合いがあるアルバムだけに気になる。
まず、Extended Editionは尺の都合でこれまでのCDには入っていなかった楽曲が初めて収録されており、
さらにボーナストラックが2曲入っています。つまり事実上3曲追加。
そしてそれ以外の楽曲については、自分はすでに以前リイシューされたときの国内盤を持っています。
Extended Editionは6,600円。3曲でこの金額はさすがに割高と言わざるを得ません。
でも他の楽曲も音質が向上しているなら買う価値あるかも、ということでそれも調べてみました。
実はExtended Editionはリマスタリングされており、既存音源とは聴こえ方が異なる可能性があります。
そして国内盤は「高音質UHQCD仕様」をうたっています。
であれば音質向上は間違いなしなのかと思いきや、
このUHQCDというのは別にCDとしての容量が大きくなったわけではありません。
CDの加工の過程が通常より高品質というだけで、リッピングしてしまえば普通のCDとなんら変わりません。
しかも、よくよく調べてみるとBandcampでダウンロード販売もしていてそちらは24bit音源として売られている。
CDはどうあがいても16bit/44.1kHz以上の音質にはならないので、この時点でDL盤の方が高音質です。
SAW IIのような細かな音の粒を味わうような音源ではこうした違いはかなり重要で、
結局のところ音質を求めるなら円盤を買うよりもDL盤を買うべきということになります。
ちなみにDL盤は15ユーロで、執筆時点のレートでは2,732円です。安い!
そういうわけでCDを買う必要が無いことがわかってしまったわけですが、
それでもコレクター品としてCDはCDで取っておきたい気持ちがなくもないんですよね。
ただ、差分3曲以外のCDは持っているし、リッピングさえしない3曲のために6,600円はさすがに……。
ということで延々迷っているという次第です。
数年前の自分なら迷いなく買っていたと思いますが、
当時の浪費癖を反省した結果としてこんにちの自分があるので、こういうのは軽々にポチれません。
DL盤を購入したエレクトロニカのアルバムはCDも重複購入する……なんて意気込みを以前書きましたが、
こういう問題がわりとよく起きるので実現はなかなか困難かもなぁと改めて思いました。
CDの音質の限界を考慮すると、やはり音楽はデジタルコレクションとして割り切るのが無難なのかも……。