消費税減税へ
このブログでは基本的に政治の話は忌避してきましたが、
それは政治クラスタに目をつけられたくない、政治好きと思われたくないといった動機というよりは、
単に自分が無知だからという側面が強いと思っています。
政策や政治信条というのは、無知の目から見るといかにも欠陥だらけで問題があるように見えるものです。
しかし本腰入れて批判しようと経緯まで調べてみると、「あ、そういう事情があったのか」と気付かされる事実も多い。
それを知ったあとでは、欠陥だらけに見えた政策も決して頭ごなしに否定する気はなくなります。
自分は「あらゆる立場にはまだ自分の知らない経緯がある」という考え方の基本をいまのところ信じていますが、
政治ほどそういう姿勢が求められるジャンルは他になかなかありません。
厚顔無恥を晒さないためにはブログに書くためには多少は調べる必要があり、
それが(他のトピックスと比べると)面倒くさいので政治の話題は選ばれにくいわけですね。
というわけで、今日はちょっとしか調べていませんと前置きしつつ巷で話題の消費税減税の話です。
現政権は先の選挙の公約として、2年間は食料品の消費税率を0%にすると明言しました。
そしてなんやかんやあってPOSレジシステムの技術的な都合で0%ではなく1%にすることになったのですが、
とりあえず2027年04月から食料品の消費税率を1%にすると首相が明言し、本格的に動き始めています。
これに対し、「減税の対象にならない飲食店が死ぬ」「卸売がここぞとばかりに値上げすれば小売価格は結局下がらない」
「減税による税収減10兆円分はどう捻出するんだ」「2年後8%に戻せるのか」といろいろと言われています。
ざっくり調べた感じだと、まずこの時限的な消費税減税は
ある側面では中小所得者に対するいびつな課税構造を是正するための施策の「お試し版」でしかないということですね。
ここでいう中小所得者というのは2人家庭で世帯収入540万円未満(≒1人270万円)を想定しているそうですが、
たとえばよく「106万円の壁」と言われるように、
世の中にはボーダーラインを越えると課税されたりもともとあった給付が消えたりする仕組みが山ほどあります。
特に低所得層かつ子育て世帯ではそれが顕著で、「収入が増えると税金が高くなって損をする」みたいな事例が多くあります。
すると、人々はその壁を超えないように就労時間をセーブして調整しようとするわけですね。
この「たくさん働くと損をする」というわけわからん状況を是正するために
現政権が提案しているのが給付付き税額控除というシステムで、
乱暴に言えばそういうボーダーラインによって生じる課税の壁に対して給付や控除で金額を調整し、
「収入が増えれば所得が増える」という当たり前のことを中低所得者に対して実現するというのが趣旨です。
ただし、これの実現のためにはマイナンバーカードに紐づく給付用口座システムの確立、
恒久的な財源の確保など問題が山積しており、すぐに実現できるようなものではありません。
10兆円足りない困ったなあとかそういう次元の話ではないと思います。
消費税減税は1%になりますが、その1%相当に対して調整を行うそうで「実質0%」をうたっています。
この1%分の給付(控除?)がいわば給付付き税額控除の試験運用にもなっており、
また制度を確立する2029年までずっと無策では目下の物価高に対応できないので、
低所得者ほど所得に占める食料品への支出の割合が大きいことに着目し、そこに支援を絞ったというわけですね。
自分みたいな外食もする中途半端な単身者は完全に蚊帳の外です。
日本は年金にしろ累進課税にしろ皆保険制度にしろ、良く言えば平等主義的な、悪く言えば社会主義的なシステムが多く、
「日本は戦後もっとも成功した社会主義国である」などと言われているそうです。
しかしちゃんと資本主義でもあるので、格差など資本主義の負の側面もしっかり横たわっているようにも思います。
一方で格差がよりいっそう進行するアメリカでは資本主義の権化みたいな現政権への抵抗勢力として、
ニューヨークを中心に日本的なシステムを導入しようという動きが活発になっているそうです。
要は富裕層にガッツリ課税して、その税収でみんなのための社会サービスを充実させようということですね。
民主主義は否定しないので「民主社会主義」などと言われていますが、
それが果たして社会のシステムとして正しいのかと言われるとなんとも言えません。
まぁでも、もしかしたら技術やサービスが十分に成熟した近未来の社会には適合しているのかもしれませんね。